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その後は何やら前日と似たような状況、つまり「下りで1人先頭」になったローランも、ほんの少しだけ欲を出した。「総合上位を狙うため、コルシカを何事もなく終えたい」と願ってはいたけれど、ダウンヒルで思い切って脚を速めてみた。特攻隊長シルヴァン・シャヴァネルや、ラーシュペッテル・ノルダーグ、ミケル・ニエベが、メイン集団から飛び出しを仕掛けて、合流してきたのも大きかった。そうは言っても、白地に赤い丸の争いに敗れたオリカ・グリーンエッジと、むしろ緑色に愛着を持つキャノンデール プロサイクリングが、猛烈に追い上げ、そして集団スプリントへと無理やりに持ち込んでしまうのだけれど。
90人ほどの集団の中に、ピュアスプリンターは残っていなかった。最終2kmに急カーブ2つ&橋が待ち構えるカルヴィの町は、パンチャー系スプリンターに両腕を広げていた。第1ステージ(落車、154位)、第2ステージ(2位)に続いて、この日もダントツ優勝本命に上げられていたペーター・サガンが、思い切ってその広い胸に飛び込んでいった……はずだった。しかしハンドルを投げた彼のはるか右側では、サイモン・ゲランスもやはりハンドルを思い切って前方へと投げていた。
「勝てたのかどうか、定かじゃなかった。ただ、かなりの僅差だったことだけは把握していたし、早とちりして勝者気分にもすぐには浸りたくなかったんだ。勝利が確定したのは、数分だったしね」(ゲランス)
フォトフィニッシュ(写真判定)に委ねられた勝負の行方は、ぎりぎりでゲランスに軍配が上がった。小柄なオーストラリア人にとっては5年ぶりのツール区間勝利。同時にオーストリア国籍チームの「オリカ・グリーンエッジ」にとっては、2012年チーム創設以来初めてのツール区間勝利となった!!
「とてつもない勝利だよ。チームにとっては、すごい瞬間だった。これまで何度となく、勝利に近づいてきたけれど、どうしても勝てなかったから。願わくば、このチーム初勝利が、さらなる勝利を呼んで欲しいものだね」(ゲランス)
スロバキアの怪物君は、マイヨ・ヴェールで我慢するしかなかった。バークランツは黄色い衣装で嬉しい本土上陸を果たせるし、パリでの総合優勝本命たちはそろって「1秒遅れ」で、罠がいっぱいのコルシカを切り抜けた。こうして196人の選手たちは、2台の飛行機に分乗すると、ひどく慌しく第4ステージの舞台ニースへと飛んで行く。開催関係者やチームバス、キャラバン隊等々は7台の巨大フェリーに乗って、それぞれにコルシカに別れを告げる。
ツールの喧騒が去ったあとでも、美しき地中海の小島が、ひっそり静かになることはない。ちょうど入れ替わるように、コルシカは本格的なバカンスシーズンに突入する。
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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