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サイクル ロードレース コラム 2013年7月8日

ツール・ド・フランス2013 第9ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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「これほど難しい戦いが繰り広げられたのは、今まで見たことがない」

多くの選手が、口々にこう漏らした。導火線を敷いたのは、ガーミン・シャープの面々だった。スタートの旗が振り下ろされた瞬間から、火花はパチパチと飛び散った。熾烈なアタック合戦にまぎれて、ジャック・バウアーとデーヴィッド・ミラーがタンデム走行で舞台を用意し、カタルーニャ一周覇者ダニエル・マーティンや2012年ジロ覇者ライダー・ヘシェダルが次々と火を放った。さらにモヴィスター チームが、火炎放射器で辺りを一気に業火の海に変えた。昨夜3位のアレハンドロ・バルベルデと新人賞ナイロ・クインターナを擁するスペインチームは、スイス一周覇者ルイアルベルト・ファリアダコスタやカスティーヤ・イ・レオン覇者ルーベン・プラサ等々を使って、幾度となく波状攻撃を仕掛けた。

被害は甚大だった。この日のプロトンは、6月半ばの大雨で水の底に沈んだ地域を、いくつも通り抜けた。今ステージの全賞金は被害自治体に寄付され、さらに選手のサイン入り各チームジャージ22枚が募金用オークションにかけられることになった。こんな被災地をほんの20kmほど走っただけで、スプリンターたちはあっという間にグルペット地獄へと突き落とされた。前集団があまりにすばしこく消え去って行ったせいで、厳しい制限時間との戦いを強いられた。しかしむしろ、より深刻だったのは、最新科学の粋を搭載したスカイ列車が完全に吹っ飛ばされたこと!

前夜の暗黒軍団は、ひどく圧倒的なやり方で、区間も総合も上位2位を独占していた。「スカイの走りは守備的すぎる。サイクルコンピュータのワット数を見ながら、ただコントロールに努めているだけだ」という批判の声をひっくり返すために、チームマネージャーのデイヴ・ブレイルズフォードは、「今年は攻撃的なチームを作ったんだ」と誇らしげに語ったものだ。しかし、おかげでプロトン内には、とてつもなくアンチ・スカイの気運が高まっていた。

ガーミンとモヴィスターの企てに、多くのチームや選手が相乗りすることで、猛烈な攻撃のうねりが出来上がった。前夜必死に働いたせいで、疲れ切ったスカイ勢は、必死の対応に追われた。と、そこにハプニングが襲い掛かる。比較的平坦な道のりで、前夜最終盤まで好アシストを続けたピーター・ケノーが、落車し、草むらに転がり落ちてしまったのだ!幸いにも擦り傷程度で済んだものの、スカイ陣営の前線が少々動揺し、守りが手薄になった。その間にも、ライバルたちは爆竹のようにポンポンと跳ね返り続けた。

そして、とうとうマイヨ・ジョーヌ自らが、めくるめく逃げを潰しにかからねばならない事態へと追い込まれた。クリス・フルームの周りから、味方の姿が忽然と消えた。ゴールまでいまだ141kmも残っていたというのに。

「昨日チームメートが、マイヨ・ジョーヌ獲りのためにやり遂げてくれた仕事を考えると、彼らが疲れ果てていたのは至って普通のことだよ。彼らだって人間だから、連日のように激務を続けられるわけはないんだ。ただ、1人になっても、ボクはパニックにはならなかった。監督と無線でつながっていたから、孤独を感じなかったのかな」(フルーム)

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