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【Cycle*2024 フレーシュ・ワロンヌ:プレビュー】唯一絶対の勝負地「ユイの壁」を4回、誰が真っ先に上り詰めるのか
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フランスを斜めに突っ切って3日目。地図だけ見れば単なる「移動ステージ」。エスケープ勝利を狙う選手にとっては、今大会最後の中級アップダウンステージだった。いまだ凱歌をあげられていないフランス勢にとっては、「キャトーズ・ジュイエ(7月14日=革命記念日)」前夜に母国に熱狂をもたらす絶好のチャンスだった。総合争いの選手にとっては……勝負のモン・ヴァントゥーを前に、静かに体力を温存したい1日だった。
肌にじっとりと纏わりつくような暑さが、あいかわらずツール一行を苦しめていた。ゼロkm地点で最初のアタックがかかり、そこから攻撃の乱れ打ちは続く。「ゴムのように伸びたり縮んだり……(デーヴィッド・ミラー)」を繰り返した果てに、18人のエスケープ集団が出来上がったのは、ようやく45kmほど走った後だった。
ただし、すぐに逃げを許されたわけではない。大きな塊には、22チーム中13チームが滑り込んでいた。当然、前に行けなかった9チームにとっては面白くない。乗り遅れた中でも、特にエウスカルテル・エウスカディやランプレ・メリダ、ヴァカンソレイユ・DCMが必死に追走を仕掛けた。なかなかタイム差は開かず、1分前後で一進一退を繰り返す。それでも次第にヴァカンソレイユが諦め、ランプレが放棄し、エウスカルテルが足を緩め……ステージ折り返し地点の補給地点(スタートから94km、残り97km)をきっかけとして、18人にステージ勝利を争う権利が完全に譲渡された。そしてこれが、2013年ツール・ド・フランスも14日目にして初めての、「勝利に結びつくエスケープ」だった。
……そうは言っても、どうしても諦めきれない人間もいた。ランプレのダミアーノ・クネゴとヴァカンソレイユのジョニー・フーガーランドが、残り77km地点でひどく不毛な追走に打って出たのだ。しかし先を急ぐ18人は、すでにはるか遠くへ行ってしまったあとだった。長いシャス・パタット(芋ほり=逃げとプロトンの間に挟まれていること)の果てに、ただ疲労だけを残して、2人はスカイが淡々と制御するメイン集団へと飲み込まれていくのだった。
前方ではガーミン・シャープ(アンドリュー・タランスキーとデーヴィッド・ミラー)、モヴィスター チーム(ホセホアキン・ロハスとイマノル・エルビーティ)、BMCレーシングチーム(ティージェイ・ヴァンガーデレンとマークス・ブルグハート)、レディオシャック・レオパード(ヤン・バークランツとイェンス・フォイクト)が、それぞれに2人ずつ送り込み、わずかな数的優位を誇っていた。一方で今大会初優勝を追い求めるフランス勢が4人。シリル・ゴチエにビエル・カドリ、ジュリアン・シモンに……フレンチトリコロールジャージを着込んだアルテュール・ヴィショ!また1日だけ特別休暇を与えられたスプリンター親衛隊が3人(ラルスイティング・バク、シモン・ゲシェケ、マッテオ・トレンティン)に、パヴェル・ブラットにエゴイツ・ガルシアエチェギベル、ミハエル・アルバジーニ。また総合で13分11秒差につけるタランスキーと38分08秒遅れのヴァンガーデレンのアメリカコンビは、「新人賞獲り」の失敗をなんとか穴埋めしたかったはずだ。
7つの小さなアップダウンを乗り越えて突き進む18人の、協力体制が崩れたのは、ゴールまで30km前後に近づいてから。そして最も危険な男と集団内で恐れられていたアルバジーニの下りアタックをきっかけに、ステージ勝利へ向けた壮大ないがみ合いへと突入する。2人体制を利用して、ベテランルーラーのミラーやフォイクトが、強烈な牽引を繰り返す。アルバジーニは全てに噛み付き続け、すでに区間勝利&マイヨ・ジョーヌの味を知っているバークランツも欲望を剥き出しにした。最後から2番目の上りでは、昨大会総合5位ヴァンガーデレンが、軽やかなリズムでライバルを引きちぎりにかかった。41歳フォイクトと36歳ミラーは、次第に燃え尽き、引き離されていった。
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