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2回目のラルプ・デュエズへに取り掛かる前の平地で、3人はめでたく再合流を果たす。メイン集団までのタイム差は7分20秒。伝説の山での、逃げ切り勝利がいよいよ見えてきた。上りが始まると、またしても――そして決定的に――、3人は協力体制を断ち切り、それぞれに自分の野心に向かって突き進むことになる。
「正直に言うと、山のふもとでは『勝てる』と思った。3人の中で最強なのはTJ(ティージェイ)だと分かっていたけど、彼は自転車交換でのタイムロスを取り戻すために、エネルギーを大いに消費していた。だから、攻略可能だと考えたんだ。確かにボクも道をはみ出したせいで、追走に力を使ってはいたけどね。でも、TJの加速に、ついていけなかった。爆発的な加速というのが、ボクはすごく苦手なんだ」(リブロン)
ゴール前12.3km、カーブ番号に換算すると「17番」、つまりアメリカ人の大先輩アンドリュー・ハンプステンの名前が刻まれたカーブで、ヴァンガーデレンは再び単独で先頭に立った。父親の母国オランダのファンたちが詰め掛ける「7番」の悪名高き「オランダカーブ」では、観客の熱狂に後押しされた。ヒートアップしすぎた観客には、パンチさえお見舞いした。何よりツアー・オブ・カリフォルニアの総合勝者は、今度こそ、最後まで先頭で突っ走れるはずだった。
しかも背後のリブロンは、実は勝利をすっかり諦めていた!心理的には2位争いに切り替えて、淡々とテンポ良く上ることだけを心がけた。2日前のギャップでは大逃げの果てに区間2位に泣き、前日の個人タイムトライアルでは総合9位のチームメート、ジャンクリストフ・ペローを落車骨折で失ったから、ちょっとだけ無念の気持ちもあったけれど……。
「でも監督から『絶対にTJは崩れる。諦めずに前を追え』と言われたんだ。『まさか、それはないだろう』と半信半疑で走り続けたら、その通り、彼の背中が見えてきた。ポジションを見て、すぐに、『あ、疲れてるな』って分かったよ。しかも近づくにつれて、表現方法は悪いけど、犬がハァハァ息をするような音が聞こえてきた。確信したね。こんな千載一遇のプレゼントは、絶対に獲りに行かなきゃ、と心を決めた。監督がボクのピストルに弾を込めたのさ」(リブロン)
3年前の7月18日に、大逃げの果てにピレネーの難関峠アクス・トロワ・ドメーヌを制したリブロンは、2013年の同じ日に、アルプスの難関峠ラルプ・デュエズの山頂で、やはり大逃げの果てに歓喜の勝利を手に入れた。3年前の勝利の記念に妻から贈られたネックレスに、この日は熱烈な勝利のキスを贈った。1月17日生まれのリブロンにとって、7月18日は「2つ目の大切なアニバーサリーデー」となった。
■2度の登坂が体力を奪う
はるか後方のメインプロトンでは、クリス・フルームが怖がったサレンヌ峠の下りが終るまで、スカイ プロサイクリングは極めて抑え目な速度でプロトン制御を続けていた。おかげで逃げ集団は悠々とリードを稼ぐことができたし、一方で後方居残り組の区間や山岳賞への野望はあっさりと打ち砕かれた。1度目の上りでその両方を狙うピエール・ローランが飛び出し、アンディ・シュレクが2006年の兄フランクに続く栄光を追い求めてアタックを仕掛けたけれど、時すでに遅し。無駄なアタックで、プロトン屈指のピュアクライマーは、足を使い果たしてしまっただけだった。
サレンヌ峠の下りに入ると、「予想通り」とフルームが語ったように、ロマン・クロイツィゲルとアルベルト・コンタドールがエンジン全開で駆け下りて行った。「総合2位でも15位でも関係ない、ただマイヨ・ジョーヌのためだけに戦う」と公言していたスペイン人は、舗装状態の悪いヘアピンカーブを利用して、ほんの少しではあったけれど、メイン集団から距離を稼いだ。
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