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「間違いなく、いや確実に、これがボクにとって最後のツール・ド・フランスだ。ボクのキャリアのページを閉じるために、最後の最後に何かしたかったんだ……。それは成功したと思うよ」(フォイクト)
メイン集団内では、スタート直後から、モヴィスター チームが主導権を握った。出走前には選手全員でローラー台を回し、10人の逃げが出来上がると高速トレインを走らせた。ひとえに23歳の若きクインターナに、山頂フィニッシュ勝利をもたらすためだった。
「チームはボクに勝算があると踏んでいたし、ボク自身だって勝ちたいと思っていた。ただ監督やチームメート全員は強く勝利を確信していたけれど、ボク自身はそこまで自信がなくて。でもチームがとてつもない仕事を成し遂げてくれた」(クインターナ)
ゴールまで15kmに迫っても、いまだスペイン軍団のアシスト6人が、白い新人賞ジャージの周りをしっかり固めていた。最終峠突入と同時に、第16ステージで区間勝利を挙げ、「沈みかかっていたチームの雰囲気を上げ、選手の士気を高めてくれた」(GMウンスエ)のはもちろん、前夜に2勝目をもたらした絶好調ルイアルベルト・ファリアダコスタが、猛烈なリズムを押し付けた。これで一気にメイン集団を8人にまで絞り込んだ。すぐさま畳み掛けるようにアレハンドロ・バルベルデが加速を切った。
決定的な選別を行ったのは、しかしロシアチームのスペイン人、ホアキン・ロドリゲス。3週目に入ってからグングン調子を上げてきた34歳が、ゴール前8.5kmで得意の爆発力を見せ付けると……、パリの総合表彰台に上る3人が抜け出した!
それは第15ステージのモン・ヴァントゥー終了後のフルーム+バウク・モレッマ+アルベルト・コンタドールとも、第17ステージ山岳TT後のフルーム+コンタドール+ロマン・クロイツィゲルとも、さらには第18ステージのラルプ・デュエズ終了後のフルーム+コンタドール+クインターナとも違う。もちろんフルームの絶対的優位だけは常に変わらなかったが、黄色いジャージと共にツール初登場の山へ登っていったのは、クインターナとロドリゲスの2人だった。
「ボクは自分の目標が何なのかはっきり分かっていたし、その目標を常に考えながら走ってきた。今度こそ、歴史がボクに味方してくれた。3大ツールの表彰台全てに上るというのは、それほど多くの選手にチャンスがあることではないからね」(ロドリゲス)
モン・ヴァントゥー前日まで総合10位で、ほんの前夜までは総合5位だった。しかし2012年ジロでは最終日に首位→2位と泣き、2012年ブエルタでは第17ステージに首位→3位と逆転負けを喰らった「プリト」は、2013年ツールでは1つ順位が上のクロイツィゲル、さらには2つ上のコンタドールに苦い思いを味わわせた。「区間だって勝てたはずだけど、とにかく総合のために全力を注ぐべきだと分かっていた」から、クインターナやフルームの無協力などお構いなく、昨秋のブエルタで自分からリーダージャージをむしり取ったデンマークチームのスペイン人を、冷静に表彰台から蹴落とした。
「本当に疲れた。肉体的にも、精神的にも。ここ数日はリスクを冒したし、転んで、ヒザを痛めていた。それにボクの本来の目標はマイヨ・ジョーヌを獲ることであって、表彰台ではない。2位を守ることや、トップ10入りすることじゃなかったんだ。もちろん、4位よりも2位の方がいいに決まってるけど」(コンタドール)
落ちたチャンピオンは、7分10秒遅れの総合4位として1日を終えた。個人的な栄光は逃したけれど、幸いにもチーム総合首位の座だけは、総合5位クロイツィゲルと共に守りきった。記念大会でシャンゼリゼの表彰台に登る権利は、かろうじて手に入れた。
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