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サイクル ロードレース コラム 2013年8月27日

ブエルタ・ア・エスパーニャ2013 第3ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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クレイジーな1日だった。ドラマチックでさえあった。ファブリシオ・フェラーリ、シリル・ベッシー、パブロ・ウルタスン、ビセンテ・レイネス、ルーカ・ドーティの5人は、スタート直後に逃げ出したけれど、特に大きな見せ場を作ることもなくゴール前36km地点前後で吸収されていった。そう、例の「橋」を、1度目に越えた直後のことだった。

3級山岳への軽い上りで終わるステージは、パンチャー、もしくは上れるスプリンターが勝機をつかむだろうと予想されていた。だから、まさにそんな脚質の持ち主、ジャンニ・メールスマンを擁するオメガファルマ・クイックステップが、かなり早い段階で追走に乗り出した。逃げ集団のリードが6分近くに開くと、いまだゴールまで140km以上も残っていたというのに、猛烈な加速を始めた。ゴール前70km地点では、すでに差は1分にまで縮まってしまった。

(ちなみに154km地点のアロウサ島内で予定されていた第2スプリントポイントは、113.6km地点、つまりにこのゴール前70km近辺に変更されていた)

ちょっと詰めるのが早過ぎたんじゃないか……と、ここで他チームから軽い横槍が入ったこともあり、オメガファルマは追走の手を緩める。そこからは2分15秒ほどの差で、上手にコントロールを続けた。あとは最後の上りへ向けて、ゆっくりと準備を重ねて行けばよいはずだった。

スピードが落ちた直後に、小さな集団落車が発生した。「補給を忘れてしまった」という初歩的なミスで、前夜ハンガーノックに陥ったセルジオルイス・エナオモントーヤが、軽く地面に転がり落ちてしまったのだ。チームメートの協力を得て、スカイプロサイクリングの「リーダー」は、すぐにメイン集団へと再合流を果たす。不幸中の幸いだった。なにしろ、ようやく追いついた頃には、のんびりとした時間帯はもはや終わりを迎えていた。複数チームが、こぞって前方へと猛進し、熾烈なるポジション争いを始めていたからだ。

大陸とアロウサ島をつなぐ「橋」が、ほんの目と鼻の先に待ち受けていた。大西洋にかかる橋の上には、強風が吹き荒れている。しかも道の真ん中にはパイロンが並べられ――島をぐるりと回ったら、すぐに同じ橋を引き返してくるためだ――、道幅は半分に狭められている。アクシデントを避けるためには、絶対に集団先頭で橋に突入しなければならない。

緊張感がどんどん増して行く中、ゴール前43km、つまり橋まで数キロの地点で、90度カーブが突如として目の前に現れた。至極当然のように、集団内部で将棋倒しが起こった。おそらく半分以上の選手が、脚止めを喰らったに違いない。バウク・モレッマ、ミケル・ニエベ、ドメニコ・ポッツォヴィーボ、ティボー・ピノ、ラファル・マイカ、サイモン・ゲランス等々のいわゆるチームリーダー格も、分断の犠牲者となった。つい先ほどまで集団先頭を引いていたはずのオメガファルマも、トニー・マルティンやゼネック・スティバールが、罠にはまった。

小さくなったメイン集団は、それでも加速を止めようとはしなかった。とりわけモヴィスターが……つい1ヵ月半ほど前のツール・ド・フランスの、強風吹き荒れた第13ステージで置き去りにされたアレハンドロ・バルベルデが、あの日、喜び勇んで加速を続けたベルキンのリーダーを、しかもその後に「文句を言う前に、自分の過去をよく思い出せ」と批判した張本人モレッマを、待つわけがなかった!

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