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戦いの舞台はスペイン北部へと移り、後半戦が始まった。1度目の休養日を終えて、仕切りなおしの個人タイムトライアルは、2つの主要テーマで彩られた。1つ目は来る世界選手権へ向けた、スペシャリストたちの前哨戦。そして2つ目は、この先の10日間のめくるめく激戦へと誘う、マイヨ・ロホを巡る男たちの争いだ。
185人中52番目に走り始めたトニー・マルティンが、まずは51分37秒のトップタイムを記録した。アルカンシェルジャージを身にまとう現役世界チャンピオンは、そもそも、「今シーズンの個人タイムトライアル全勝」という、とてつもない野望を抱いていた。さすがに全勝は無理だったけれど、ここまでの8ヶ月で、10戦8勝。苦渋をなめたのはツール・ド・ロマンディのプロローグと、ツール・ド・フランスの山岳TTの2回だけ。ちなみに、いずれも2013年ツール覇者のクリス・フルームの前に、屈している。
「自分の走りには満足している。向かい風に立ち向かう必要があったけれど、それでも、好スピードを保てた。上りさえも上手くこなせた。調子もいい。世界選手権へ向けて、大切な一歩を踏み出すことができた」(マルティン)
しかし、36分後に出走したファビアン・カンチェッラーラが、全てを凌駕した。3級峠がコースの真ん中に聳え立つコースの、第1タイム計測(=山の上り始め)では14秒、第2タイム計測(=山を半分ほど下った地点)では34秒、そしてゴールでは37秒のリードを奪い去った。記録は51分00。「カンチェッラーラは、頭一つ抜け出していた」と、ライバルのマルティンも、ただ称賛するしかなかった。……山頂でのタイムだけは、予想外なことに、ヒルクライマーのドメニコ・ポッツォヴィーボが先頭に立つのだけれど!
「厳しいコースだった。完璧なスペシャリスト向けというわけじゃなかった。自分自身にこう言い聞かせながら走った。『自分のレースをしろ。自分のペースで走れ。とにかく自分にぴったりのリズムを見つけ出すんだ』って」(カンチェッラーラ)
年頭に「今年はタイムトライアルに重きをおかず、春クラシックに集中する」と宣言したスイス人は、E3→フランドル→ルーベと3つのワンデーレースを圧倒的な力でもぎ取った。その一方で、タイムトライアルはオーストリア一周と国内選手権の2勝のみ。しかも8月上旬のポーランド一周では、2012年ツール総合覇者ブラッドレー・ウィギンス相手に、タイムトライアルで大敗を喫していたのだが……。
「区間を勝てたのはステキだけれど、ただ勝つだけじゃなく、細部にこだわることも大切なんだ。正しいホイールを選べたか、とか、そういうこと細かいことに関してね。その点でも、最高の1日になった。なにより、ボクにとっての第1目標は、世界選手権に向けて仕上げること」(カンチェッラーラ)
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