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サイクル ロードレース コラム 2013年9月6日

ブエルタ・ア・エスパーニャ2013 第12ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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幸いなことに、通常なら「最終3km以内で落車・メカトラブルに襲われた選手には、事故時点で所属していた集団と同じゴールタイムを与える」というタイム救済ルールが、この日は特別に「5km」に延長されていた。おかげで、比較的早い段階で、総合上位の選手はストレスから解放された。ゴール前4.5kmでパンクに見舞われたポッツォヴィーボも、まるで焦る必要はなかった。

一方で、あらゆる難関を排して、ようやくフィニッシュ間近まで迫ったスプリンターチームは、小さな失望を味わうことになる。ロータリーやカーブは想定の範囲内だったとしても、ラスト1.5kmの道が、かなりの上り基調だったから!

「ナイスなステージだったけど、ラスト1.5kmが、想像以上に難しかった。予想していた以上に、すごくテクニカルだったし、上りがきつかった。ボクが望んでいるのは、とにかく、平坦なフィニッシュだけなんだ」(タイラー・ファラー)

ガーミンやオリカの隊列のあらゆる努力を無為にするような、坂道アタックが炸裂した。ヒルクライマーのリゴベルト・ウランが発射台となり、ゴール前500mで、エドヴァルド・ボアッソンハーゲンが飛び出した。さらに、その後を追うように、虹色の光が、集団から矢のように放たれた。世界チャンピオンジャージを身にまとう、フィリップ・ジルベールだった。

「エドヴァルドは世界屈指の強豪だから、状況を引っくり返せるかどうかなんて、誰も確信なんか持てないさ。ただひたすら自分のスプリントだけに集中し続けたし、自分には追いつけるだけの力があると信じていた。スティバール相手の敗北を、いまだに忘れていなかった。だから、勝っても負けてもいいけど、とにかく1センチ差や2センチ差で負けたくない、とだけ思っていた」(ジルベール)

2012年9月23日に世界ロード王者の座をつかみとって以来、ジルベールは勝利から遠ざかってきた。約1年ぶりの栄光は、つまり、アルカンシェル姿で味わう初めての歓喜だった。「世界チャンピオンジャージでの勝利は、最高だね!」と笑顔を見せるベルギー代表リーダーは、2013年9月29日の大切な大一番に向けて、どうにか帳尻を合わせつつある。

ちなみに昨シーズンも、春先に歯の不調に苦しめられたせいか……ずっと勝てなかった。肝心のシーズン初勝利は、今年と同じように、ブエルタだった(第9ステージ)。さらに第19ステージでも勝利を重ね、ついには世界王者へと駆け上がった。

「この勝利のせいで、ボクにはプレッシャーがかけられるだろう。たくさんの人が、きっとこう言うに違いないんだ。『ヤツはまた勝てるさ』って。でも、これ以上余計なプレッシャーをボクにかける必要なんかないよ。ボクは優勝大本命ではない。本命の名を、軽く10人ほどあげることができる。カンチェラーラにサガン、さらにはスペイン人たち。バルベルデとかロドリゲス、サンチェス、モレーノ……」(ジルベール)

マイヨ・ロホを危なげなく守りきったニーバリも、イタリア代表リーダーとして、世界選手権優勝本命に名乗りを上げている。

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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