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【Cycle*2024 フレーシュ・ワロンヌ:プレビュー】唯一絶対の勝負地「ユイの壁」を4回、誰が真っ先に上り詰めるのか
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世界選手権個人タイムトライアル優勝候補の2人が、激しく競い合った翌日。イタリア代表のチ・ティ(CT=commissario tecnico=代表監督)のパオロ・ベッティーニが、いわば恒例の選手チェックに訪れた。前夜にはアメリカ代表チームが発表され、この日の朝にはフランスが13人のプレ代表リストを明らかにした。フィレンツェの世界大会は、刻々と近づきつつある。虹色ジャージを追いかける選手たちも、最終準備に余念がない。
スタート直後から、ファブリシオ・フェラーリとセドリック・ピノー、ロメイン・ジングルが飛び出した。そもそも世界選手権の出場枠を得られなかったウルグアイ人、代表内定から漏れたフランス人、そしておそらく代表には選ばれないであろうベルギー人は、先のことなど特に考えずに、協力し合って逃げを続ける。30Kmほど走ると、タイム差は7分近くまで広がった。
さっそくスプリンターチームは制御に乗り出した。ここまでの11日間で、本当の意味で「大集団スプリント」が展開されたのは、第5ステージのたった1回だけ。しかもこの先は山頂フィニッシュが6回も待ち受けているから……どうしても今のうちに勝機をつかんでおきたい。こうしてオリカ・グリーンエッジが隊列を引き、アルゴス・シマノやガーミン・シャープが仕事を始め……ラスト100kmを切ると、ランプレ・メリダも協力を買って出た。
終盤にはキャノンデールやベルキンも、追走に加わった。とりわけキャノンデールには、早めに3人を吸収しておきたい理由があった。それが、ゴール前15km地点に待ち受ける、ステージ2回目の中間ポイントだ。
ブエルタ・ア・エスパーニャは、ツール・ド・フランスと違って、ポイント賞を必死で追い求めるスプリンターなど存在しない。しかも、やはりツール・ド・フランスと違い、中間ポイントには「ボーナスタイム」が設置してある。つまり、総合争いの選手にとって、大切な場所となる。忘れもしない2011年、マイヨ・ロホを追い求めるクリス・フルームが、中間ポイントのアーチと間違ってスプリントを切ったこともあった!
そして、2分55秒差で総合7位に沈むイヴァン・バッソは、1秒だって欲しかった。だからこそ、邪魔なエスケープの回収に勤しんだ。いまだ夏の香りがただよう地中海岸で、ゴール前20km、3人のアバンチュールは幕を閉じた。
バッソは、誰とも争うことなく、念願の3秒を手に入れた。総合順位は変わらぬまま。総合6位とのドメニコ・ポッツォヴィーボとの距離だけは、8秒差に縮めた。それでもいつか、このわずかな3秒が、表彰台争いにおいて大切になってくるかもしれない。またニコラス・ロッシュは2位通過で2秒獲得。33秒差の総合2位から、31秒差へと近づいた!
中間スプリントの直後に、前夜タイムトライアル戦争に敗れたトニー・マルティンが、飛び出しを仕掛けたこともあった。一瞬、度肝を抜かれたスプリンター集団は、すぐに体制を整えて追いついた。
またマイヨ・ロホのヴィンチェンツォ・ニーバリ擁するアスタナや、アレハンドロ・バルベルデを守るモヴィスターが、スプリンターを脇へ押しのけて集団前方を占拠したことも。ステージ最終盤にはロータリーやカーブなど、極めてトリッキーな仕掛けが無数に詰め込まれていたせいだった。
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