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ゴール前6km、マルティネスデエステバンとコッペルが、抜け駆けを試みた。すでに数キロ前から、エスケープ集団内では、勝利へ向けた化かし合いが始まっていた。一旦は大きく後れを取ったスカルポーニも、2011年ジロ総合覇者の意地を見せて、2人に追いついた。ただし、置き去りにされた6人は、じわじわと3人を飲み込んだ。ラスト2kmで、再び前方は9人に逆戻りした。
次に大きなアタックを決めたのが、ゴール前1.8kmの、バルギルだった。もしかしたら、情報収集を怠った数人の選手は、ネオプロの実力を甘く見ていたのかもしれない。ただし、フランス人としては奇妙な名前(ケルト系の系譜を継ぐブルターニュ人の名前だ)を持ち、フランス人としては痩せた細長い肢体と驚異的なヒルクライム能力を持ち(チーム アルゴス・シマノにスカウトした監督は、初めて見たとき、コロンビア人だと思ったそうだ)、フィレンツェでの世界選手権「プレ」代表候補に選出された21歳は、2012年ツール・ド・ラヴニール総合覇者なのだ!
現在は23歳以下の選手だけに門戸を開かれた「ミニ」ツールと呼ばれるステージレース……、つまりは2013年ツール・ド・フランス総合2位ナイロ・キンターナが2010年に制した大会をモノにした、文字通り「未来=アヴニール」の強豪である。ちなみに2006年にはモレッマが、2003年にはマルティネスデエステバンが総合を制している!
「ボクの血の中に、自転車レースが、脈々と息づいている」(バルギル)
自転車熱狂の地方で生まれ育ったバルギルは、第10ステージでのニュートラルゾーンの落車に巻き込まれ、大きくタイムを失った。2分31秒差だった若者は、たった1日で27分37秒差へと転落した。
それでも、傑出した才能は、決して折れはしなかった。今ステージでまんまと逃げに乗り、ラスト1.8kmでアタックを打つと、そのまま他者を寄せ付けずに突進を続けた。ゴール前1kmのアーチを差し掛かっても、500mのパネルをくぐっても、先頭の座は変わらなかった。
「ブエルタに乗り込んできたときは、とにかく、チームがボクを信頼してくれたこと、初めてのグランツールへと送り込んでくれたことに、大いに満足していた。だから、とにかく、ゴールすることが目的だった。……今回の勝利が、新チャンピオンの誕生かどうかは、わからない。ただ言えることは、たくさんの仕事と犠牲とが、幸せをもたらしてくれたということさ」(バルギル)
年上の先輩たちの追い上げを振り払って、バルギルは生まれて初めての区間勝利を手に入れた。栄光を逃した逃げの仲間たちは、7秒遅れでフィニッシュラインを越えた。メインプロトンは2分43秒遅れで、緊張感あふれた1日を締めくくった。スカルポーニは24位から、7分49秒差の総合16位へと、一気に駆け上がった。
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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