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「昨日も逃げにトライした。でも、調子が悪かった。だから『今日は思い切って休もう』と、静かに走ったんだ。今朝も、イージーに行こうと決めていた。監督から『初めてのグランツールなんだから、連日攻撃せずに、体を休ませろ』って言われていたしね。でも、走っている最中に、調子がどんどん上がっていったんだ。何か仕出かしたくて、脚がウズウズしちゃったよ!」(バルギル)
飛び出しては、吸収され、他人が飛び出しては、吸収に向かい、そしてまた自分で飛び出しては、吸収され……。目が回るような化かし合いは、ゴール前10kmでバルギルが単独アタックを決めても、まだ終わりではなかった。
「実のところ、エスケープが最後まで逃げ切れるかどうかさえ、確信できなかったから。だからアタックを打ったんだ。最後にはウランに追いつかれた。でもスプリントするための余力は残していたし、なにより、ウランならスプリントで倒すチャンスがあると知っていた」(バルギル)
だから、ゴールまで1kmを意味するアーチの手前で、あえてウランの合流を待った。そして今季ジロ総合2位の後輪に、ネオプロはピタリと張り付いた。先頭交替は一切拒否した。せめて区間勝利で名誉を回復したいウラン相手に、すでに今大会1勝を上げていた185cm・60kgのヒルクライマーは、強気で対応することができた。後ろからは、バルトス・フザルスキーやドミニク・ネルツが恐ろしい勢いで迫ってくる。つまり、スカイのコロンビア人は、合流を避けたいなら、ひたすら必死で「バルギルの牽引役」を務めるしかなかった。
ラスト150m、たまらずウランはスプリントを切った。フランス人は、余裕を持って、冷静かつ大胆に最後の瞬間を待ち、区間2勝目をライン上ギリギリでさらい取った。
「たとえ区間1勝をすでに懐に入れていたとしても、勝ちたいという気持はまるで変わらなかった。2勝目が欲しかった。最高だね!まだ信じられないよ。自宅に帰ってようやく、自分が成し遂げたことを理解するだろう。区間2勝がどれだけ凄いのかということを。いや、もしくは、もっとそれ以上の成績だって……」(バルギル)
メイン集団も、麓から強い風が吹き上げる最終峠を、大小織り交ぜたアタックで彩った。バルベルデの緑色のジャージが何度も空気を切り裂いた。なにより、逃げに乗ったチームメート2人と、忠実なる右腕ダニエレ・モレーノの協力を得て、ホアキン・ロドリゲスがパワフルに前へ突き進んだ。「ボク向きの上りじゃなかった」と本人も認めるように、勾配が緩やかすぎる峠(だって最大勾配が「たったの」9.5%)にも関わらず!
「今日のレースは最初から猛スピードで進んできた。選手たちの顔には、疲労の色が見えていた。ボクだってそうだ。自転車界においては、2+2は必ずしも4にはならない。ほんの無害そうに見えるステージが、大きなタイム差を生み出すことだってあり得るのさ」(ロドリゲス)
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