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サイクル ロードレース コラム 2013年9月12日

ブエルタ・ア・エスパーニャ2013 第17ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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危険……、それはサクソ・ティンコフの暴力的な行軍のことだった!プロトンは瞬く間に分断された。デジャヴを感じた関係者も多かったはずだ。ツール・ド・フランス100回大会の、第13ステージでも、風に乗ったサクソ・ティンコフが6人体制で特攻を見せている。そしてあの日、驚異的な献身を尽くしたマッテーオ・トザットが、この日は最前列で力を発揮した。フランスではアシスト役として積極的なリレー交替に加わったニコラス・ロッシュは、スペインではリーダーとして保護される側だった。

「まるで戦争だったね。強い横風が吹いていた。だからできる限りスピードを上げて突っ走った。プロトンをぶち壊すために。そう、まさにボクらはぶち壊したんだ」(ロッシュ)

そう、まさしく。そして、サクソの分断作戦は、予想以上の功を奏した。首位ヴィンチェンツォ・ニーバリ、2位クリストファー・ホーナー、3位アレハンドロ・バルベルデ、そして4位ホアキン・ロドリゲスに限っては、問題なく前方集団に居場所を見つけていたが……、総合5位ドメニコ・ポッツォヴィーボと、7位のティボー・ピノが後方に置き去りにされた。総合6位のロッシュに対して、前日までの総合成績では前者5秒リード、後者は54秒遅れ。つまりロッシュにとって、邪魔者をはじき出す絶好の機会だった。

「まず、ポッツォヴィーボが罠にはまったことを知った。それから、ピノも遅れているとの情報を得た。チームメートたちが力を尽くしてくれた姿を、皆さんご覧になったと思う。ただ単にフィジカル能力の問題ではなくて、チーム力の勝利だった。みんながボクのために働いてくれて、こうして結果に導いてくれた。興奮モノだよね」(ロッシュ)

トザットは猛烈な牽引を続け、ファビアン・カンチェッラーラも先頭交替に加わった。ほとんど抵抗を見せなかったエスケープの2人は、ゴール前21kmで飲み込んだ。後方とのタイム差は、乱暴に広げて行った。

ゴール前10kmに突き立った短い激坂にさしかかると、アスタナやカチューシャも、ライバルの抜けがけを恐れて警戒態勢を敷いた。思い切って飛び出したディエゴ・ウリッシの小さなひらめきは、首尾よく第1プロトンに滑り込んだスプリンター勢に、下りで握りつぶされた。彼らは「小集団ゴール」の可能性へ必死にすがった。特にタイラー・ファラーのために、2011年パリ〜ルーベ覇者ヨハン・ヴァンスーメレンが力を惜しまなかった。

ルートマップに注意を喚起する「!」がびっしり書き込まれた最終盤の細道も、幸いにも人数が少なくなっていたおかげで、難なく通り抜けた。34人が、先を争うように、フラムルージュへと突進した。

「最後の1kmで、アタックを仕掛けるチャンスがあると、分かっていたんだ。風で集団は分断し、小さくなっていたし、最後の上りはゴールから遠すぎた。それに向かい風だったから、違いを生み出すのは難しかった。だから、最後の直線を待って、飛び出した。だってスプリンターも残っていたからね。ボクにとっての唯一のチャンスだった。後ろは決して振り向かなかった」(バウク・モレッマ)

800mでオランダ人が仕掛けた直後、一瞬、後続選手は顔を見合わせた。これが運命を分けた。慌てて他選手が追いかけ、追いつく前にスプリントを仕掛けるも、もはや「2011年ブエルタポイント賞」を捕らえることなど不可能だった。

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