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サイクル ロードレース コラム 2013年10月31日

さいたまクリテリウム by ツール・ド・フランス レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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先頭集団に追いついたあと、「そこからもう1つ飛び出したかったな」……と笑う福島晋一には、たくさんのファンから「お疲れ様でした」の声が上がった。残念ながら、ラスト7周ほどのところで、エスケープ集団と共に福島もメインプロトンへと吸収されていった。

粘り強い別府がさらにレースをおもしろくかき回し、背後ではキャノンデールやアルゴス・シマノのトレインが厳しい制御を試みた。過去2年のツールでひどく恐れられてきたスカイの暗黒列車も、圧力を増してきた。そしてラスト1周半、黄・緑・虹の超大型アタックが、炸裂した。

2013年ツール・ド・フランス覇者クリス・フルーム、2012・13年ツールポイント賞サガン、2013年世界チャンピオンのコスタが、するりと集団から抜け出した。キッテルの編成する追走隊列をものともせず、豪華なトリオは先を急いだ。

ちなみにこの3人だけで、2013年ツール区間5勝(フルーム2、サガン1、コスタ2)。ワールドツアー個人ランキングは2位フルーム、4位サガン、9位コスタと、いずれも一桁台。もちろん、フルームは山岳とタイムトライアルにめっぽう強く、コスタはアップダウンコースでインテリジェンスな走りを見せ、スプリントならサガンにお任せだ。だからこそ、「サガンが一緒だと、勝てないかもしれないから」と、フルームは単独アタックを仕掛けた。ツール・ド・フランスの名を冠した大会だからこそ、絶対にマイヨ・ジョーヌが勝たねばならない、そんな使命を果たすために。

9月末の世界選手権は背中の痛みのせいで途中棄権し、仙腸関節の炎症でジロ・デ・ロンバルディアも欠場したフルーム。約1ヶ月ぶりのレースで、「最後は脚が動かなくなってしまった」けれど、ファンや開催委員会の期待にしっかり応える独走を披露した。フィニッシュラインではVサインを天に掲げながら、満面の笑みを周囲にふりまいた。

「日本の自転車熱の高まりを感じた。また来年のツール・ド・フランスでマイヨ・ジョーヌを獲って、そして来年のさいたまクリテリウムに戻って来たいね」(フルーム)

2位争いのスプリントを制した緑サガンは、本来パリならば「白」ジャージに値する新人賞に輝いた。虹色コスタは、同じく「赤玉」ジャージに相当する山岳賞となった。また「日本人ベストライダー賞」を意味する川室賞(1926年ぶツール・ド・フランスに史上初めて出場した川室競にちなんで)は、5位窪木一茂に贈られた。

日本チャンピオンジャージで臨んだ新城幸也は、早い段階で遅れ始め、29秒差の49位でゴール。「連日メディアやファンサービスに引っ張りだこで、おまけにボクらの日本滞在の世話もしてくれている。昨夜はご飯を食べる時間もなかったほどなんだから……」と、ユーロップカーのチームメート、ジェローム・クザンは体調不良だった新城を責めないで欲しいと訴える。

史上初めてのさいたまクリテリウム by ツールドフランスは、こうして華やかに幕を閉じた。通算20万人の観客を集めたイベントは、興行的には大成功。ASOツール・ド・フランス開催委員会も、さいたま市も、継続開催に前向きな意欲を示しているという。ゴール直後の喧騒が納まり、宵闇が迫る会場のあちこちでも、また来年、そんな挨拶の声が飛び交っていた。

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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