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暗黒の木曜日から一夜明けて――。前ステージの大集団落車で4人が即時棄権し、この朝は、2人がスタート地に姿を現さなかった。今ステージの途中にも、2人が自転車を降りた。開幕からちょうど1週間。ジロ・デ・イタリアのプロトンは186人にまで小さくなった。
満身創痍の一行は、3日連続の「200km超」ステージに走り出した。スタート直後からアタック合戦が繰り広げられた。逃げ切りの可能性が、ゼロではなかったからだ。
なにしろ前日の出来事のおかげで、マリア・ローザのマイケル・マシューズは、プロトンの大多数から十分なアドバンテージを得ていた。タイム差調整さえ怠らなければ、逃げ切り勝利を許したところで、ジャージを失う恐れはない。さらには疲れや傷を背負う総合本命たちも、翌日からの本格山岳2連戦へ向けて、こんな平坦ステージで無茶はしてこないはずだった。そもそもオリカ・グリーンエッジだって牽引役スヴェイン・タフトは体を痛めていたし、ブレット・ランカスターはDNS(出走せず)で、マシューズ本人も疲労困憊だった。
「昨日あれだけ努力したからね。今日のボクは100%じゃなかった。だから、ステージ中は、ジャージを守ることだけを考えた」(マシューズ)
スタートからしばらくして始まった4級峠で、ついに5選手が飛び出した。ロビンソン・チャラプド、ウィナー・アナコナ、ビョルン・トゥーラウ、ニコラ・ボーエム、ネイサン・ハースの先頭集団は、最大9分のリードを許された。ゴール前39.5km地点の4級峠山頂でも、タイム差はいまだ4分半近く残っていた。
「むむ、これはいけないぞ、と思って、チームメート3人を集団前線に送り込んだ。追走作業に取り掛かってもらった。そこからの彼らは、素晴らしく模範的なアシスト作業を行ってくれた」(ナセル・ブアニ)
そこまでのスプリンターチームは、前方に1〜2名ずつ送り込んで、なんとなく牽引する程度だった。断然張り合ったのは中間ポイントのみ。とはいっても、エリア・ヴィヴィアーニは奮闘したが(6位通過で6pt獲得)、ブアニはほんの軽くしか加速しなかった(10位通過で1pt獲得)。発射台役のセバスティアン・シャヴァネルは、リーダーを急かしたそうだが、「オレは参加しねぇ。ゴールのために力を取っておきたいから」と言い返されたとかなんとか……。
ともかく、山頂を過ぎると、本気の追走が始まった。FDJ ポワン エフエール、キャノンデール、ジャイアント・シマノ等々、複数のスプリンターチームが必死で先頭交替を繰りかえした。エーススプリンター、ジャコモ・ニッツォーロのために、トレックファクトリーレーシングの別府史之も高速牽引を敢行した。
残り30kmで3分50秒、20kmで2分40秒、10kmで1分12秒。前を行く5人も、必死で協力し合って先を急いだが、無常にもタイム差は急速に縮まって行った。2日前にも最後まで粘ったトゥーラウや、ハースは、最後のあがきを見せた。それでも、ほんの少したりなかった。ラスト3kmのアーチを抜けた直後に、集団に飲み込まれていった。
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