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サイクル ロードレース コラム 2014年5月26日

ジロ・デ・イタリア2014 第15ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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マルコ・パンターニへ捧げる3つ目のステージが幕を閉じた。モンテ・カンピオーネ、いわゆるチャンピオンの山で、イタリアに新たなチャンピオンが誕生した。ファビオ・アール。サルデーニャ島生まれの23歳。パンターニがこの世から去った時は、いまだ本格的に自転車レースを始めてさえいなかった。

「他の誰とも比べることのできない凄い選手だ。今日も沿道にはたくさんのパンターニファンが詰め掛けていた。いまだにこうやって観客を呼び寄せることができるんだから、ものすごいことだよ」(アール)

奇妙なコースだった。約200kmの長い平坦ステージの終わりに、登坂距離19.35kmの1級山岳がひとつ。猛スピードのアタック合戦をかいくぐって、12選手がエスケープの切符を勝ち取った。2004年ジロ総合覇者ダミアーノ・クネゴや、2011年ブエルタから全てのグランツールに出場し続けているアダム・ハンセンが潜り込んだ集団は、フラットな道で、最高で10分程度のタイム差を手に入れた。

平地パートを3分の2ほどこなした後、突如として、後方プロトンの前に蛍光色の軍団が出張ってきた。ネーリソットーリ・イエローフルオの面々だ!同じようにプロコンチネンタルカテゴリーに属するバルディアーニ・チエセエフェの2連勝に刺激されたのか、それとも「大逃げ向き」第11ステージで猛烈な追走を敢行しエスケープを潰したアンドローニジョカットリに倣ったのか。監督のルーカ・シントに言わせると「総合16位マッテーオ・ラボッティーニのため」に、前集団に1人も送り込めなかったネーリソットーリは、とにかく逃げ集団を回収しようと必死で前を引いた。結局のところ、ラボッティーニは18位後退で終わるのだが。

チャンピオンの山へと突入する頃には、逃げ集団のアドバンテージは2分10分に小さくなっていた。山道で代わる代わるアタックとカウンターアタックを繰り返すも、誰一人として最後まで逃げを完遂することはできなかった。12人の中で真っ先に山頂へたどり着いたのはマルティンス・カルドソ。勝者から3分13秒遅れの18位だった。

山の始まりと共に、強豪たちの熾烈な戦いが勃発した。青い山岳ジャージのジュリアン・アレドンドなどは、道が上り始めた途端に、真っ先にアタックを仕掛けたほどだ。果たしてタイミングが早すぎただろうか?ちなみに16年前のパンターニは、ゴール前16kmで最初の加速を披露した。そこからパヴェル・トンコフと2人で、長い一騎打ちを繰り広げていく。一方のアレドンドは、逃げの残党を全て狩り尽くした後、ゴール前9kmで吸収されてしまうことになる……。ラスト10kmからは、今ジロ開幕の地アイルランド生まれのフィリップ・ダイグナンが、少しの間だけ先頭走行を許されたこともあった。

ゴールまで5kmを切ると、メインプロトンは一気に緊張感を増した。きっかけを作ったのは、またしてもピエール・ローラン!今大会すでに、幾度となく攻撃を繰り出して来たフレンチクライマーは、この日もウズウズする脚を抑えきれなかった。実はダイグナンに続いて前に行こうとした時は、ティンコフ・サクソに阻止された。4.8kmでの急襲は、マリア・ローザのリゴベルト・ウランに直接潰された。3度目の正直とばかりに、ラスト4.3kmでも飛び出しを仕掛けた。今度こそ決まったか、と思われた。

ダイグナンを捕らえ、先を急ぐローランの背後では、水色と黄色を基調としたジャージが少しずつスピードを上げていた。リーダーのパンターニは、あの日マリア・ローザを着ていたけれど、所属チームのメルカトーネ・ウノのジャージはやはり水色と黄色だったっけ……。2014年ジロでこの配色を使用しているのは、もちろんアスタナで、若きアールが猛烈に自己実現へと突進し始めているところだった。

「ゴール前3kmで、周りを見回した。他の選手よりも、自分がほんの少し強いように感じたんだ。だからアタックした。自分に何ができるのかを、知るために」(アール)

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