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守備的な総合勢とは対照的に、大逃げ野郎たちは入れ代わり立ち代り攻撃を仕掛けた。独走力には定評のあるデヘントを、ペッリツォッティやダイグナンは猛烈に追いかけた。カタルドは3度目の正直を狙って、凄まじい加速を切った。バッソが歯を食いしばって渾身の一発を繰り出したこともあった。なにより2人のコロンビアン、アレドンドとファビオアンドレス・ドゥアルテが、驚異的な山の脚を見せつけた。そしてゴール前4km、アレドンドがついに単独先頭を奪った!
「このジロの期間中、難しい時もたくさんあった。途中棄権さえ考えたほどだよ。2日前のステルヴィオでは、このままじゃ最下位ゴールだ、なんて思ったさ。監督のヨス・ララサバルがチームカーに入れてくれて、ボクを温めてくれた。おかげで再スタートを切る勇気が湧いたんだ。今日は山の麓でアタックしようと思ったんだけど、ヨスから、『楽に行こうぜ、攻撃はまだだ』と声をかけられた。そして十分に上ってから、『今だ!』って。このアドバイスのおかげで、ボクは勝てたんだ。冷静で、我慢強くいるよう、ヨスが教えてくれた。そしてパーフェクトな1日の終わりがやってきた」(アレドンド)
当初は英国からビザ発給を拒否され、ジロ出場さえ危ぶまれた。ギリギリで滑り込んだ初めてのグランツールで、初めてのワールドツアー勝利に手が届いた。今季トレックファクトリーレーシングに合流してから通算3勝目。2012〜2013年のニッポ時代も含むと、プロ入り通算8勝目。標高1760mの頂で勝ち取った、キャリアで最高の栄光だった。山岳ジャージは早ければ第19ステージ終了後にも確定しそうだ。区間の2番目には、標高2500mを超える高地で生まれ育ったドゥアルテが入った。
おとなしくしていたメイン集団も、最終峠の接近と共に、徐々に騒がしくなっていった。総合4位の、いや、むしろ総合3位までわずか5秒に迫るピエール・ローランのために、チーム ユーロップカーが高速で集団を牽引し始めたからだ。今大会3度の落車に苦しめられた新城幸也も、最後の平坦パートを全力で引っ張った。その後は山岳アシストたちがバトンを受け取り、山の中腹で、2009年U23世界チャンピオンのロメン・シカールが強烈な加速を仕掛けた。リーダーのピエール・ローラン本人も、畳み掛けるように飛び出した。何度も、執拗に。
ほぼ毎回キンタナは、冷静に素早く反応した。1度だけは「あえて」追わずに、周りに仕事をうながしたこともあった。ローランに対して余裕の3分26秒差を有するマリア・ローザよりも、僅差で表彰台争いを繰り広げる5位ラファル・マイカ、6位ファビオ・アール、7位ドメニコ・ポッツォヴィーボが動くべきなのだ、と。最終的には、ローランに対して1分45秒リードを有する総合2位リゴベルト・ウランが、慌ててチームメートを追走に向かわせた。そのせいでローランは、大多数のライバルたちに追いつかれてしまった。……ただし、1人だけ例外がいた。総合3位のカデル・エヴァンスだ。2011年ツール・ド・フランス総合覇者の37歳は、同年ツール新人賞の攻撃に苦しめられ、そして千切れていった。
「ボクにとっては良い1日ではなかったね。タイムも失った。かなりのタイムだ。総合でも9位に落ちてしまった。でも、ジロはまだ終わっていない。明日からの2ステージで、まだまだ何かが起こる可能性がある」(エヴァンス)
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