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サイクル ロードレース コラム 2014年5月31日

ジロ・デ・イタリア2014 第19ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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26.8kmの個人タイムトライアルコースの、正確に言えば19.3kmの山道が、2014年ジロ・デ・イタリアの真実を明らかにした。マリア・ローザのナイロ・キンタナが、正真正銘の王者であることを、完膚なきまでに証明してみせた。難関山岳ステージはあと1日残っているけれど……。

すでに脚には3週間の疲労が蓄積されていた。クロノ・スカラータ=登坂タイムトライアルは、全ての選手にとっての試練だった。特に完走目前のスプリンターたちにとっては、とにかく制限タイムが気が気ではなかったはずだ。ジロのTTステージの場合、区間優勝タイムの30%を超えると容赦なく失格が告げられる。つまり今回は19分21秒以上の遅れは厳禁で……、残念ながら、21分23秒遅れたケニー・デハースは、トリエステまであと2日に迫ったこの日、帰宅を命じられた。赤ジャージのナセル・ブアニは、14分18秒遅れで余裕のセーフ。また坂道の途中で立ち止まり、大胆にも彼女に結婚の申し込みをしたヨス・ファンエムデンは、11分56秒遅れでゆとりを持ってゴールした。もちろんプロポーズも成功させた!

序盤7km半がほぼ平坦で、そこから先はゴールまで8%近い勾配が続く。多くの総合リーダーたちは、前半はTT専用バイクでできるだけ時間を稼ぎ、山の始まりと同時にノーマルバイクに乗り換えるという手法をとった。総合トップ10圏内で、スタートからゴールまで一貫してノーマルバイクで走ったのは、前ステージ終了時点で8位ウィルコ・ケルデルマン、7位ライダー・ヘシェダル、3位ピエール・ローランの3人のみ。しかもケルデルマンはDHバーさえ取り付けていなかった。その対極にいたのが、全身ピンクのナイロ・キンタナだ。ゴーグル一体型ヘルメットに丈が長めのエアロシューズカバー。しかも自転車交換と共に……ヘルメットさえ交換するという早業さえ!

「バイクとヘルメットを交換したおかげで、本当に、安心して走ることができた。ノーマルヘルメットのほうが有効だと分かっていたからなんだ。だって軽いし、汗蒸れも少ない。しかも交換には、ほんの数秒しかかからない。なにより、そのための準備も万全に行ったからね」(キンタナ)

そんな風に心落ち着けて走ったキンタナは、第1中間ポイント=TTバイクで走ったゾーンは、首位通過のパトリック・グレッチュから38秒遅れでクリアした。総合争いのメンバーで最高タイムをたたき出したのは、1週間前のアップダウンタイムトライアルでぶっちぎりの優勝を果たした総合2位リゴベルト・ウランで22秒遅れ(キンタナへのリードは16秒)。ノーマルバイク組みはヘシェダルが首位より45秒遅れ、ローランが49秒遅れ、ケルデルマンが52秒遅れだから、自転車交換によるロスタイムがない分、決して悪くはない数字だった。ちなみにTTバイクで走り出した総合4位ファビオ・アールは、54秒遅れだった。

山道の途中の、第2中間ポイントまでくると、違いは徐々に大きくなっていく。ポッツォヴィーボがそれまでの首位通過者フランコ・ペッリツォッティの記録を21秒塗り替え、すぐ後には、アールがなんと……ポッツォヴィーボの記録を一気に52秒も塗り替えた!そこからさらに、最終走者のキンタナが8秒上回ることになる。ちなみに第1→第2計測地点の11.8kmだけを考慮すると、逆にアールがキンタナを8秒上回っている。また総合2位のウランも、ここまでは順調にリズムを刻んでいた。キンタナからの遅れは、いまだ15秒と小さかった。

さらに最終盤に入ると……長い単独走行の疲れと、平均勾配8.9%・最大14%の急坂とが、驚くほどの差を生み出した。もはや前半にどんな自転車に乗っていたのかなんて……、まるで関係なかったかのように。ヘシェダルはメカトラで「予定外の」自転車交換を余儀なくされ、3分後にスタートしたポッツォヴィーボに追い抜かれた。TTバイクでカーブを曲がりきれずにフェンスに激突した総合5位ラファル・マイカは、やはり後発のファビオ・アールにあっさりと先に行かれた。

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