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サイクル ロードレース コラム 2014年6月1日

ジロ・デ・イタリア2014 第20ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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2度目はゾンコランの山道に入った直後。総合10位のロベルト・キセロフスキーが、単独で飛び出しを試みた。しかし2011年にゾンコランを制し、現在はキンタナの山岳護衛隊長を務めるアントンが、すぐさま回収に向かった。

アントンの刻むリズムは、ひたすら厳しかった。カデル・エヴァンスやライダー・ヘシェダル、ウィルコ・ケルデルマンは、あっさりと千切れていった。その他のトップ10選手は何とかしがみ付いたが、誰もがアシストなしの孤軍奮闘を強いられていた。ただ1人、ウランを除いては。

そして3度目。ウランの忠実なる手下は、攻撃チャンスを逃さなかった。そこまで集団内でじっと待機していたセルジュ・パウエルスが、ゴール前5km前後でアントンが脇にそれた瞬間、、突如として猛スピードで引き始めた。勾配16%超えをものともせず、まるでスプリントを切るような勢いだった。もちろんウランを連れて前へ飛び出した。キンタナは苦もなくついてきた。途中でシェリーも合流し、オメガ3vsモヴィスター1という構図になっても、そんなことはまるで無問題であるかのようだった。

ファビオ・アール、ローラン、ポッツォヴィーボ、そしてマイカは、コロンビア組について行けなかった。ウランを2位の座から追い落とす、いや、総合優勝も狙う、と豪語していたアールも、表彰台入りの最後のチャンスにかけたローランも、これ以上はもはや何もできなかった。残りの坂道の大半は、若い3人に代わって、31歳のポッツォヴィーボが黙々と引っ張った。総合3位〜6位までの4人は、前日と変わらぬ順位のまま、第20ステージを終えた。

2014年ジロ・デ・イタリアの、最後の山道を、キンタナとウランは並んで走った。2012年ジロで新人賞、翌大会では総合2位に入ったウランは、新加入オメガファルマ・クイックステップに、チームが長年追い求めてきたグランツールの総合表彰台をもたらした。そして2013年ツール新人賞&&山岳賞&総合2位のキンタナは、コロンビア国民が待ち望んでいた、グランツール総合覇者の座を――。

「このマリア・ローザを、母国コロンビアに持ち帰ることができて、本当に誇らしいよ。かれこれ3年前から、あちこちで勝ち始めて、力を伸ばしてきた。去年ボクらコロンビア人は、ジロとツールで総合2位に入った。そして今年、さらにもう一段、ステップを上がることができた」(キンタナ)

ちなみに4色のジャージのうち、3色をコロンビアが独占した。ピンク(総合タイム)と白(新人)はもちろんキンタナで、青(山岳)はジュリアン・アレドンドで確定した。残す赤色ジャージの行方は……?フランス人ナセル・ブアニで決まり、と言いたいところだが、最終集団スプリントが終わるその瞬間まで、イタリア人ジャコモ・ニッツォーロにもわずかな可能性が残されている。

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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