人気ランキング

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム&ブログ一覧

サイクル ロードレース コラム 2014年6月1日

ジロ・デ・イタリア2014 第20ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
  • Line

17人で上り始めた逃げ集団は、ヨーロッパ屈指の急勾配で、あっという間に小さくなって行った。そしてゴール前6km。フランコ・ペッリツォッティがアタックを打つと、マイケル・ロジャースとフランチェスコ・ボンジョルノだけが反応を見せた。さらには、2人の大ベテランを向こうに回し、今ジロで大ブレイク中の「1990年生まれ」ボンジョルノが渾身のカウンターアタック。ついにボンジョルノとロジャースは、2人きりになった。もちろん沿道では、10万を超える観客が、一騎打ちを熱い視線で見守っていた。

残念ながら、一部のファンは加熱しすぎた。そしてボンジョルノ=Bongiornoにとって、buon=良い、giorno=1日とはならなかった。ゴール前2.9km。観客の1人に背中を押され、バランスを崩し、ペダルから左足が外れた。立ち止まったのは、確かにほんのわずかな時間だったかもしれない。しかし、極度の集中力を突然断ち切られ、ボンジョルノは上手くリズムを取り戻せなかった。その上、ロジャースは何も気がつかぬまま、遠くへと走り去ってしまった。2度と追いつけないくらいに。

「苦々しい気分だよ。自分のカードを本気で切ることさえできないまま、全てが終わってしまった。あれほどの急勾配だと、走り出すこと自体が、ものすごく難しいんだ。悔しくて泣けてきた。でも、一体ボクに、これ以上なにができただろう?せめて今後の教訓にして欲しいね。ファンたちの応援は嬉しいけれど、でも、そこには、走っている選手たちへのリスペクトがあるべきだ」(ボンジョルノ)

1人になったロジャースも、執拗に付きまとってくるティフォジを、時には怒鳴りつける必要さえあった。幸いにも山頂まで2kmほどに迫ると、いまやゾンコラン名物ともなった山岳警察たちによる「人間バリケード」のおかげで、心静かにペダルを回すことができた。

「でも、後ろで何が起こっているのか、まるで分からなかったんだ。タイム差情報さえ、何も入ってこなかった。チームカーからの無線は一切途絶えた。だから山頂まで、タイムトライアルのつもりで上った。ただひたすら、あと○km、あと○mと、距離を刻むことだけに集中した。最後の100mになって、ようやく、自分の勝ちが確信できた」(ロジャース)

第11ステージでジロ区間初勝利を手にした34歳は、わずか10日後に2勝目を手に入れた。しかも、プロトン屈指のルーラーが、ジルベルト・シモーニ、イヴァン・バッソ、イゴール・アントンというピュアヒルクライマーに続く、第5代目のゾンコラン王者になったのだ!

「全ての勝利が美しい。でも、今日は、ゾンコランでの勝利だ。ジロの伝説的山だ!自転車選手なら誰でも、こんな伝説の山で勝つことを、夢見ているものさ」(ロジャース)

後方のメイン集団は、モヴィスターの堅固な守備に阻まれて、誰もがきっかけを見つけられずにいた。明らかな攻撃が見られたのは、全長167kmのステージで、わずか3度だけ。

1度目は、チーム ユーロップカーが仕掛けた。連日勇敢に戦ってきたフレンチチームは、ゴールまで残り50kmを切ると、アシスト勢が一丸となって集団牽引を始めた。そこからロメン・シカールが先行アタック。「ゾンコランはあまりに勾配が厳しすぎて、なかなかアタックは決まらないだろう。だから、仕掛けるなら、遠くから」と分析した、ローランのためだった。しかし、ポッツォヴィーボやマイカが相乗りしてきて、小さなためらいが発生した隙に、モヴィスター軍団に主導権を奪い返された。

  • Line

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

J SPORTSで
サイクル ロードレースを応援しよう!

サイクル ロードレースの放送・配信ページへ