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【Cycle*2024 フレーシュ・ワロンヌ:プレビュー】唯一絶対の勝負地「ユイの壁」を4回、誰が真っ先に上り詰めるのか
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3週間前にアイルランドから船出したジロ・デ・イタリアが、トリエステの港に帰着した。イタリア空軍曲芸飛行隊フレッチェ・トリコローリと、そして大量のコロンビア国旗が、チャンピオンを乗せたプロトンを華やかに迎え入れた。ベルファストで最初の山岳ポイントを手にしたマーティン・チャリンギが、大会最後の山も先頭で越えた。初日にマリア・ローザで誕生日を祝ったスヴェイン・タフトは、最終日は高速エスケープで観客を沸かせた。そしてラストスプリントは……、チーム ジャイアント・シマノが勝ち取った。開幕スプリントと同じように。3455.5kmの大きな輪が、こうして閉じられた。
晴れた6月最初の日曜日、一行は最後の172kmへと走り出した。マリア・ローザのナイロ・キンタナを支え続けてきたモヴィスター チームが、静かに集団先頭でペダルを回した。序盤の山岳ポイントを除けば、7.2km×8周回の最終サーキットコースに入るまで、なにごともなく穏やかな時間が過ぎて行った。
イタリア併合60周年を祝うトリエステの町に入ると、走行スピードは徐々に上がって行く。そして2周回目の、ゴール前44.5km地点。まるで申し合わせたかのように、タフトとラルスイティング・バクが足並みそろえて飛び出した。いよいよ本物の戦いが始まった。
5周回目のフィニッシュライン=中間ポイントでは、逃げる2人の後方で、赤ジャージのナセル・ブアニが3位通過を果たした。前日までの持ち点251ptに、さらに12ptを積み重ねた。というのも4賞ジャージの中で、いまだポイント賞だけが確定していなかったのだ。総合首位マリア・ローザと新人賞マリア・ビアンカはキンタナが、山岳賞マリア・アッズーラはジュリアン・アレドンドが、すでにしっかりと着込んでいたというのに……。ただし、唯一逆転マリア・ロッサの可能性を有するジャコモ・ニッツォーロ(225pt)は、中間を取りに行かなかった。つまり、たとえイタリア人に区間勝利をさらいとられても、フレンチボクサーは区間11位以上に入りさえすればよい。
「あとはとにかく、安全確保、それをだけを考えた。落車やメカトラをできるだけ回避して、確実に上位ゴールすること。勝利よりも、ジャージを守ることが今日の目標だったから」(ブアニ)
だからFDJ ポワン エフエールは、集団制御には加わらなかった。むしろ、どうしても1勝が欲しいチーム スカイやキャノンデールが、必死の牽引を行った。そうは言っても、本格派スプリント列車が走ったわけでもない。なにしろ198人で走り出したプロトンは、21日間の激戦の後、156人にまで数を減らしていた。全22チーム中、9人無傷で走り終えたのはモヴィスターとトレックファクトリーレーシングだけ。一方で大会前半に区間3勝(チームタイムトライアル&マイケル・マシューズ&ピーター・ウェーニング)とマリア・ローザ7日間でセンセーションを巻き起こしたオリカ・グリーンエッジなどは、タフトとマイケル・ヘップバーンの2人きり!
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