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「このステージは当初から狙っていた。だからサガンが飛び出したとき、ボクもためらわずに行ったんだ」(ヴァンアーヴェルマート、ゴール後TVインタビューより) 「でも、後ろから集団が猛スピードで追いついてくるのが見えたから、スプリントを待つことにした」(サガン、チームリリースより)
ヴァンアーヴェルマートは、「たとえサガンと2人で逃げ切ったとしても、ゴールスプリントで破られるかもしれない」、という理由で全力を尽くせなかった。一方のサガンはおそらく、相手が協力してくれないなら、無駄にエネルギーを使わずに中集団スプリントのために力を温存したい……と考えたに違いない。だからゴール前1km。2人のクラシックハンターは、後方から追いついてきた40人ほどのライバルたちと合流した。
直後の90度カーブで発生した集団落車も、サガンはうまくすり抜けた。ラスト200mで地面に落ちた選手を横目に、タイミング良く加速を切った。アシストを全員使い切っていたから、28人の中集団スプリントには、当然1人で打って出た。先にダッシュを開始していた選手を追い上げて、ハンドルを投げて――。
「ボクが勝ったときは、みなさんは『ボクには簡単すぎた』とか言うんだよ。でも今日は、1位で終わることはすごく難しいことなんだ、ってことが改めて証明されたよね」(サガン、ゴール後ミックスゾーンインタビューより)
1990年生まれの若者に、そんな苦い教訓を与えたのは、同じく1990年生まれクヴィアトコウスキーから発射されたマッテオ・トレンティンだった。サガンよりほんの5ヶ月先に生まれたイタリア人は、フォトフィニッシュ(ゴールライン脇に設置されたカメラで選手通過を撮影、僅差の勝負時には判定材料として使われる)によれば数センチ、いや、ほんの数ミリ、サガンより先にフィニッシュラインに到達した。
「正直に言って、ゴール直後は自分が勝ったのかどうか、分からなかった。もしかしたら、ライン上でサガンに抜かれたかも、って考えた。無線では『ボクが勝った』って言っていたけれど……。あまりにも僅差だったから、勝利が確定するまで、喜びを表に出すことは出来なかった。そして、ボクが勝った。最高に嬉しいよ!」(トレンティン、公式記者会見より)
1年前にはロングエスケープで人生初めてのツール区間勝利を手にいれた。今年はメイン集団に勝ち残った上に、若手スターを破っての堂々たる勝利。初日にスプリントリーダーのマーク・カヴェンディッシュを落車で失いながらも、諦めずに連日区間優勝を必死に追い求めてきたオメガファルマ・クイックステップにとっては、第2ステージから3位→3位→7位→7位→4位とつなげてきて、ついに待望の1位!
「カヴが棄権したとき、チームメートたちは互いに誓い合った。この先も戦っていこう、って。毎日、最大限の努力を行った。平坦ステージでも、起伏ステージでも、石畳ステージでさえも、ボクらは常に前にいた。そして今日、あらゆる努力が報われた。自転車競技というのは、これだから美しいのさ。どんなことさえ起こりえるんだから」(トレンティン、公式記者会見より)
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