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真っ先に飛び出したのは、チームメートのリエーベ・ウェストラだった。クリストフ・リブロン、アマエル・モワナール、トマ・ヴォクレール、アルノー・ジェラールのフランス4人組と他の数人が、すぐさま賭けに乗った。スタートから20kmを過ぎ、最初の上りに入ると、ホアキン・ロドリゲスやペーター・サガン等々が前方集団へと追いついた。さらに下りでミカル・クヴィアトコウスキーとトニー・マルティン等々が猛突進。つまり……青・白・赤のフレンチトリコロールを祝うべき革命記念日に、サガン、マルティン、クヴィアトコウスキーという緑・赤・白の3色ジャージがロングエスケープに乗り出したというわけ!
結果から言えば、ある意味で逃げを成功させたのは、サガンとロドリゲスだけである。マイヨ・ヴェールを着用する選手が、厳しい山岳ステージで「中間ポイント獲得エスケープ」に乗り出す戦術は、2009年でトル・フースホフトが成功させて以来すっかり定着している。サガンも中間ポイントで首位20ptを勝ち取り、マイヨ・ヴェール争いで2位以下に131ptもの差をつけた。その後は徐々にエスケープ集団から遅れだし、後方の小さなグルペットで1日を終えた。詰め掛けたたくさんのファンたちの前で、得意の「ウィリー」フィニッシュをお披露目する余裕さえあった。
この日の終わりに赤玉ジャージを着ることになるロドリゲスは、なにも力づくでマルティンから剥ぎ取ったわけではない。だってドイツ人は、ジャージ保守など1mmたりとも考えていなかったはずだから。ヴォクレールとロドリゲスが白熱した山岳ポイント収集合戦を繰り広げるのを横目に、マルティンは黙々とエスケープ牽引役に徹した。通算50km以上も先頭を引き続けたマルティンの目的はただ1つ。新人賞ジャージを身にまとい、総合で4分差、ニーバリから2分26秒差につけるクヴィアトコウスキーの、総合タイム差を縮めること。
後方メイン集団では、光り輝くような黄色をまとったトニー・ギャロパンを、ロット・ベリソル集団が守り続けた。スプリンタートレイン要員も、いや、むしろエーススプリンターのアンドレ・グライペルさえも、マイヨ・ジョーヌのために集団牽引に参加した。前方集団とのタイム差コントロールに励んできたが、コンタドール落車の直後だけは、ほんの少しリズムを落とした。そのせいでクヴィアトコウスキーの暫定マイヨ・ジョーヌが、徐々に現実味を帯びてきて……。
「たしかに少しリズムを落としたよ。ボクもリッチー・ポートやチーム監督と話し合って、速度を控えめにした。でも、前方とのタイム差が思った以上に開いてしまったから、速度を上げることに決めた。なにしろ総合争いで危険になりかねない選手が、前方にいたからね」(ニーバリ、公式記者会見より)
前夜イエロージャージを脱いだばかりのイタリア人だが、やはり、ゆっくり休んでいるわけにはいかなくなった。アシストを総動員して、追走態勢に入った。ゴール前21.5km、1級シュヴレール峠に突入するころには、差は2分半にまで縮まっていた。
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