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サイクル ロードレース コラム 2014年7月21日

ツール・ド・フランス2014 第15ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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休養日の前の、移動ステージだった。スタート直後にマルティン・エルミガーが飛び出し、ジャック・バウアーが共鳴すると、プロトンは遠ざかっていく背中を温かく見送った。アルプスを抜け出して、風光明媚な南仏プロヴァンスを駆け抜けながら、「最初の100kmはのんびり」(新城幸也、ゴール後インタビューより)した雰囲気が漂った。

主導権はスプリンターチームが握った。最大8分50秒のタイム差を与えたが、久しぶりのピュアスプリンター向け大集団ゴールへ向けて、きっちりコントロールを請け負った。アスタナ軍団は一歩引いたところで、マイヨ・ジョーヌのヴィンチェンツォ・ニーバリを静かに護衛した。

しかし、平和な時間を満喫する選手たちの前に、大自然の脅威が襲い掛かる。たしかに曇ってはいたけれど、2、3日前ほどは暑くもなく、第1週目の週末のように寒くもなかったはずだ。ところが道が南フランスの、平地に差し掛かると……、猛烈な強風が吹いてきた!

この地方はそもそも、山から海へと吹き降ろす「ミストラル」で有名な土地だ。しかも、この日はフランス気象台が、各地に強風警報を出していた。選手たちがせっせと走っているちょうど同じ頃、コースの北側ほんの50km程度の町で、突風で大木が根こそぎ倒されたほど。そして、もちろん、風、と言えば北クラシック巧者を揃えるオメガファルマ・クイックステップが動かないわけがない。残り70km地点。集団前方で突如、激しいダッシュに打って出た。プロトン内には恐ろしいほどの緊張感が走った。

「あの時、横風が吹き付けていた。数チームの選手全員が次々とプロトン前方へと競りあがっていくのが見えて、罠にはまってはならない、と気を引き締めた。風が吹いたら、絶対に前にいなきゃダメだからね」(ヴィンチェンツォ・ニーバリ、ゴール後テレビインタビューより)

2007年ツールで驚くべき分断を成功させた風巧者アレクサンドロ・ヴィノクロフ。その彼がマネージャーを務めるチームのリーダーが、風に翻弄されることはなかった。オメガに続き、ビーエムシー レーシングチームや、アージェードゥゼール・ラ・モンディアルも、同じように集団を引き千切りにかかった。総合5位のティージェイ・ヴァンガーデレンに3位ロメン・バルデを擁する両チームの目論みは、総合表彰台争いのライバルを引き離すこと。特にフレンチヒルクライマーは、16秒差で4位につけるティボー・ピノを、隙あらば千切ろうと狙っていた。

「まずは、罠にはまらないこと。それが最大優先事だった。その上で、もしもピノが後方集団に置き去りにされたとしたら、……とんでもないご褒美だったかもね。でも局地的な嵐だったから、攻撃は長続きしなかった。タラスコン(ラスト30km)を過ぎると、すっかり風がなくなったからね」(ジュリアン・ジュルディ、AG2R監督、ラジオインタビューより)

結局のところは、いずれの企ても実を結ばなかった。ただしエルミガー&バウアー組とプロトンとの距離は、一気に縮まった。ラスト50kmで1分45秒差。あとは定型通りに、集団スプリントへと進んでいくに違いなかった。

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