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サイクル ロードレース コラム 2014年7月23日

ツール・ド・フランス2014 第16ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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「数的優位は、時に、不利となる」

こんな風に、トマ・ヴォクレールは、ゴール後に唇をかんだ。バニェール=ド=リュションでは過去3回、栄光を手に入れてきた。2010年第15ステージ、2012年第16ステージ、さらに2013年ルート・デュ・シュド。だからこそ、モチベーションは高かった。10月末のルート発表時から、このステージに狙いをつけてきた。結果は2位だった。

「ボクがネオプロなら、2位という結果に満足できるのかもしれないけれど……。ひどくがっかりしている。完全なる失敗だ」(ヴォクレール、ゴール後インタビューより)

いかにもピレネーらしい、灼熱の太陽が照りつけた。ルート沿道には黄色い向日葵が咲き誇る。ようやく、真夏のツール・ド・フランスらしい雰囲気に、プロトンは包まれた。しかし、気がついてみると、パリのシャンゼリゼフィニッシュまであと6日しかない!

「ボクらにとって、ツールはあと4日間全力疾走すれば、それで終わりです!」(新城幸也、休養日記者会見より)

そう、第20ステージの個人タイムトライアルと第21ステージのパリステージは、「スペシャリスト」だけに許された狩場である。つまり一般的な選手にとって、区間勝利のチャンスは残り4回だけ。だから2度目の休養日明けのプロトンは、全速力で走り始めた。数人が飛び出しては、マイヨ・ジョーヌ擁するアスタナが穴を埋め、逃げ遅れたチームが追走に勤しんだ。新城幸也もアタックを繰り出した1人だった。

25km地点の4級峠でラファル・マイカが先頭通過を果たし(1pt獲得)、最終的に本日の赤玉ジャージを手に入れた直後に、小さなグループが飛び出した。後にユーロップカーを手玉に取ることになるマイケル・ロジャースは、この時点で早くも紛れ込んでいた。

「延々と30秒差くらいしかつけられず、みんな必死で先頭交替を続けていた。でも、その時に、ユーロップカーの選手(ケヴィン・レザ)がまったく引かなかった。『ボクは引けない。だって後方でチームメートが追走しているから』ってね」(ロジャース、公式記者会見より)

その通り、追走を諦めなかったユーロップカーは、ヴォクレールとシリル・ゴチエを前方に送り出した。多くの選手が行動を共にした。スタートから73km、ついに前集団は21人にまで膨らんだ。そして、これが、勝利につながるエスケープとなる。途端に、あれほど激烈に飛び出しを阻止していたプロトンが、ピタリ、と加速を止めた。あっという間に距離は広がっていく。しかも、いつまでたっても、再加速しようとしなかった。総合16位19分24秒差のミカル・クヴィアトコウスキーが前集団に紛れ込み、逃げ途中には暫定6位まで浮上したというのに……、総合首位ヴィンチェンツォ・ニーバリはおろか、総合トップ10争いの選手たちさえ追走を放棄した。

おかげでタイム差は最大12分半まで開いた。ゴール前30kmになっても、あいかわらず差は11分半も残っていた。そして超級バレス峠の山道で、ステージ勝利への戦いの火蓋は切って落とされた。

数的有利を、ユーロップカーは存分に利用した。序盤のアタックはレザが潰してまわった。続いてヴォクレールが2度、上りでアタックを仕掛けた。ライバルたちが追いかけてくると、代わってゴチエがカウンターアタックに打って出た。ただし「脚が重かった」というゴチエは、山頂間際で一旦、先頭集団から滑り落ちてしまう。

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