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サイクル ロードレース コラム 2014年7月24日

ツール・ド・フランス2014 第17ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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上述したニーバリとペローの爆走は、ラスト5km地点から始まることになる。その前に、メイン集団が大きく動き出したのは、3つ目の峠ヴァルルーロンの山道だ。総合4位ペローと総合5位ロメン・バルデを擁するアージェードゥゼール・ラ・モンディアルが、山頂直前に前方へ競り上がると、そのまま若者を高速ダウンヒルへと送り出した。前夜に新人賞ジャージを脱いだばかりの23歳は、ひとり勇敢に先を急いだ。最終峠の麓では、メイン集団から35秒のタイム差を奪った。

すべては朝のチームミーティングで計画していた通りの作戦だったという。目的は、総合2位アレハンドロ・バルベルデとピノの両アシストを働かせ、疲れさせること。狙いは当たった。ピノの山岳アシスト、アルノー・ジャネソンは懸命の追走に当たった。おかげでラスト7km地点、ピノ自身は新人賞のライバルを捕らえたけれど、すべてのアシストを使い切ってしまった。

Ag2rの作戦は第2段階へと移行する。「ロメンが前方で最高のアシストをしてくれたおかげで、ボクは楽々と前に飛び出すことが出来た」(ゴール後TVインタビューより)と語るペローが、ゴール前6km、攻撃に転じたのだ。するとバルベルデが、ほんの少し、遅れた。探りを入れるために、もう一度、フランス人がペダルを踏み込むと、やはりスペイン人は集団から滑り落ちた。そして……。

「まだ明日、難しい山岳ステージが残っている。調子はいいけれど、山では、何が起こるか分からないもの。だから、もしもの不調に備えて、今日はできるだけライバルからタイム差を奪い去っておきたかったんだ。だってパリまで総合優勝は決まらないし、そもそもボクはそういう性格なんだよね」(ニーバリ、公式記者会見より)

4分37秒差でもちっとも安心できない黄色いジャージが、ゴール前5kmで、毅然たる一発を振り下ろした!ここでAg2rは分担作業に切り替えた。ペローはさっとニーバリの背中に飛び移った。途中で逃げ残党アレッサンドロ・デマルキの「チームを超えたアシスト」を受けつつ、あとはフィニッシュラインまで仲良く凄まじい爆走を繰り広げた。一方のバルデには新たな使命が課せられた。ピノ&ティージェイ・ヴァンガーデレンと共に、後方に留まること。もちろん、バルデはペローとニーバリを追いかけもしなければ、バルベルデを追い落とす作業も手伝わない。ただピノがせっせと先を急ぐ姿を、後ろからじっと眺めているだけ。

「昨日より調子が良くない上に、アタックさえ仕掛けられなかった。ただ、被害を最小限に抑えられたことは、満足している。それにしても、バルベルデは、突如として力が出なくなったように見えたんだけどなぁ」(ピノ、ゴール後TVインタビューより)

力なく落ち始めたスペイン人リーダーを、あらかじめ逃げに乗っていたアシストたちが、慌てて救出に向かった。もちろん3人の中でも、ヴィスコンティだけは最前列で自らのために戦っていたけれど、ヨン・イサギーレインサウスティとヘスス・エラダはひたむきにバルベルデを支えた。2009年ブエルタ覇者は、生まれて初めてパリの表彰台に立つチャンスを、絶対に手放そうとはしなかった。意気込みなのか、それとも経験か。最終的にはピノ集団に追いつき、5秒の追加アドバンテージさえ奪った。

総合首位ニーバリは総合2位バルベルデとのタイム差を5分26秒に開き、パリでの最終マイヨ・ジョーヌへとまた一歩近づいた。総合2〜6位は順位には変動はなし。ただし総合3位ピノと4位ペローとのタイム差だけは、62秒→8秒と大幅に縮んだ。最初の山で大逃げを試みた総合関係者たちは、それぞれにモレマ10→7位、ローラン12→10位、ヴァンデンブロック13→12位と嬉しいジャンプアップを決めている。

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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