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サイクル ロードレース コラム 2014年7月24日

ツール・ド・フランス2014 第17ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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124.5kmの短距離走を、プロトンは全速力で駆け出した。ひどく暑く、ひどくめまぐるしい午後の、始まりだった。スタート直後に8人が飛び出した。ユーロップカーのシリル・ゴチエと、我らが日本の新城幸也も潜入した!

「今日の第一の目標は、最初の逃げに飛び込むこと。ドン!で逃げて、それが綺麗に決まって」(新城幸也、ゴール後インタビューより)

あっさり抜け出したが、そこから先がきつかった。なにしろ後方プロトンから、1分05秒以上のリードを奪うことができない。チーム カチューシャが、どうしても逃げを認めようとしないのだ。前夜1pt差でマイヨ・ア・ポワを失ったホアキン・ロドリゲスを、なんとか発射したい。他チームの協力が一切得られぬまま、灼熱の太陽の下で、紅白ジャージは牽引を続けた。壮大な追走劇は、延々と50kmに渡って続けられた。

行く手には4つの峠。そして最初の1級ポルティヨン峠がやってきた。タイム差は30秒。いよいよ、プリト本人の出番だった。得意の山道を利用して、前方へと弾け出ると、8人を追いかけ始めた。

そして、これが、大規模な飛び出し合戦の引き金を引く。山岳賞を死守したいラファル・マイカが動き、せめて区間1勝が欲しいスカイも後を追う。モヴィスターは「この先」に備えてアシストを3人送り出した。アタックの乱れ打ちにまぎれて……前夜タイムと順位を落とした総合10位バウク・モレマ、12位ピエール・ローラン、13位ユルゲン・ヴァンデンブロックさえ抜け出した!

こんな強豪揃いの後発隊を迎え入れた新城は、「ピエールが追いついてきたので、そこからは一定リズムで引き続けた」とさっそく仕事を開始する。さらに下りで集団はひとつになり、22人の大きな塊となっても――下り切った地点でヴァシル・キリエンカが独走態勢に入ってしまったから、正確には21人――、新城に一服している暇などなかった。むしろここからが、本番だった。1級ペイルスルドの山道から、かつてないほど熾烈な作業に取り掛かることになる。

「半分くらい上ったところで、アタック合戦が少し起こって、それが落ち着いたところでした。ピエールから『じゃあ、行こうか。ア・ブロック!』って言われて。そこからずーーーっと全開です」(新城幸也、ゴール後インタビューより)

1級ペイルスルド峠→1級ヴァル・ルーロン・アゼ峠の連続は、すでに昨ツール第9ステージ(やはり大アタックが巻き起こり、クリス・フルームが苦しんだ日だ)やルート・デュ・シュドでこなした経験があった。1年前は本人曰く「最悪の走り」だったが、この日は上り→下り→上りと延々先頭で「ア・ブロック」を実現させた。ちなみにフランス語で「A bloc」とは、全力全開で精一杯働くこと。

「今まで溜めに溜めていたものを、一気に出しちゃいました。(出し尽くして)ゴールできないかと思うほどでしたよ」(新城幸也、ゴール後インタビューより)

ヴァル・ルーロン・アゼ峠の山頂まで3km。ゴールまで25kmのアーチの下で、仕事を終えた新城は、静かに逃げ集団から離れて行った。区間勝者から14分17秒遅れで、もちろん、しっかりフィニッシュラインへたどり着いた。

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