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「努力したけれど、脚が思い通りに動いてくれなかった。レース中にタイム差はなんとなく把握していたから、自分がポディウムから遠ざかりつつあるのも分かっていた」(バルベルデ、チーム公式HPより)
若き日には「エル・インバティド(無敵)」と呼ばれた34歳は、マイヨ・ジョーヌを狙って乗り込んできたツールを、総合4位で終えた。2009年ブエルタ覇者にとっては、7回目のフランス一周挑戦で、それでも自身最高順位を記録したことになる。
総合2位の座は、大方の予想通り、北京五輪マウンテンバイク銀メダリスト&2009年フランス選手権タイムトライアル勝者のペローが勝ち取った。バルベルデを2分03秒、ピノを32秒上回るタイムで、フィニッシュラインを越えた。ただし33km地点の後輪パンクで、少々ヒヤリとさせられる場面もあったけれど……。
「中間計測地点のタイム情報があったから、自分に少々のリードがあることは分かっていた。ああいったストレスを感じる状況では、取り乱したところで、なんの解決にもならない。冷静に状況を制御するべきであり、ぼくもそれを心掛けた。再び走り出した後は、1、2kmかけて徐々に元のスピードに戻して行った」(ペロー、公式記者会見より)
焦りもせず、がむしゃらにもならず。37歳は黙々とシッティングスタイルで走り続けてきた、ところがフィニッシュした直後から、嬉し涙が止まらなくなってしまった。おかげで周りに詰め掛けたメディアに、「今は何も言えないよ。だって泣いてるんだから!」と断りを入れる羽目になった。1984年大会の優勝ローラン・フィニョン&2位ベルナール・イノー以来、30年ぶりに2人のフランス人が表彰台に上ることになったせいで、マイヨ・ジョーヌ記者会見後には特別に2位と3位の会見も開かれた。その会見場でも、ペローは何度も涙ぐんだ。
「考えるだけで、涙がふたたび溢れていてしまう。だって、課された任務は、すごく重かったから。とてつもない努力を要する仕事が、成功に終わったときというのは、いつだって、喜びでいっぱいになる」(ペロー、公式記者会見より)
一方で総合3位に後退したピノは、24歳の若者らしくクールな表情で、3週間の戦いを締めくくった。それでも純正ヒルクライマーにとっては、ニーバリから1分14秒遅れの区間12位という、上出来すぎる成績だった。実は……、監督から無線で、「バルベルデとはいまだ15秒差しかないぞ!」とラスト10kmまで「嘘の」発破をかけられていたそうだ。ゴールしてみたら、結局1分16秒も上回っていた!
こうして表彰台争いは終結した。総合首位ニーバリの次点が7分52秒遅れのペロー、3位が8分24秒遅れでピノ。フランスメディアが盛んに使用している言い方をすれば「シャークと2匹のドルフィンたち」――ニーバリのあだ名は「メッシーナの鮫」で、フランス語のイルカ=ドーファンという言葉には王太子、後継者、次点、という意味がある――が、7月最後の日曜日、シャンゼリゼという名の大海で先頭を泳ぐのだ。
「まだまだツールを勝てるレベルには程遠い。ニーバリとの間には、大きな隔たりがある。時間はかかるよ。タイムトライアルでは上達したから、今後はプロトン内でのポジション取りを上達させていかなきゃならないね」(ピノ、公式記者会見より)
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