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この春、悪天候続きのイタリアで開花したナセル・ブアニが、残暑厳しいスペインでも、たくましきスプリントの足を見せ付けた。ジロでは赤いポイント賞ジャージを最終日まで守りきり、この日はさっそく緑のポイント賞ジャージを身にまとった。赤い総合リーダージャージは、チームメートから、アレハンドロ・バルベルデが引き継いだ。
22チーム・198選手が全員揃って走り出した直後に、青玉の争いは決した。あっさり飛び出した6選手の中から、グランツール初出場ネイサン・ハースが、10.2km地点の3級峠を先頭通過。大会最初の、そして今ステージ唯一の峠で3ポイントを懐に入れると、ゴール後に山岳ジャージを着用する権利を手に入れた。しかも、目標達成すると、ハースはそのまま逃げ集団から静かに脱落していった。
「チームはダニエル・マーティンとライダー・ヘシェダルで、総合上位を狙ってる。横風が吹いていたから、僕にとっては、リーダーの側で走るほうがずっと大切だった。初めてのグランツールで初めての賞ジャージ。誇らしいけれど、でも、明日は守りには行かない」(ハース、大会公式リリースより)
山岳ポイント獲得争いに敗れたクリスティアン・ズバラーリもまた、ハースとともに後方帰還を選んだ。つまり先を続けたのは4選手。ハビエル・アラメンディア、レイナールド・イョンスファンレンスブルク、この日が26歳の誕生日だったロマン・アルディ、そして背番号1番ヴァレリオ・コンティ!
ゼッケン1とは本来、ディフェンディング・チャンピオンに与えられるもの。ところが昨大会覇者の42歳クリス・ホーナーは、大会前日に出場キャンセルを余儀なくされた。気管支炎の治療により、コルチゾル値がMPCC(信頼できる自転車競技のためのムーブメント)の規定を下回ったとして、チームが決断を下したのだ。そこで金曜日に急遽呼び出され、空席に入れられたのが、この21歳コンティだ。
つまりホーナーのちょうど半分しか生きていないネオプロが、生まれて初めてのグランツールの初めてのラインステージで、ゼッケン1を背負ってエスケープに乗って……。
「監督からそうするように言われたから、やっただけ」(コンティ、大会公式リリースより)
今ブエルタで2番目に若い1993年生まれの若者は(最年少は1994年生まれのメルハバ・クドゥス)、しかも、複合賞の白いジャージさえ身にまとった。3大ツールでブエルタにしか存在しない複合賞とは、総合順位・ポイント賞順位・山岳賞順位の、総計の最も少ない選手を称える賞である。3級峠を3位通過していたコンティは、2度の中間ポイントでも2位&1位通過してポイント賞10位に食い込み、もちろん総合では89位に入り、198人で構成されるプロトンの中で「唯一」複合賞ランキングに該当する選手となった。
「ナンバーワンゼッケンを背中につけてはいるけれど、僕はクリス・ホーナーのような偉大なるチャンピオンじゃない。それに、ブエルタで総合優勝することだって、きっとないだろう。少なくとも、今年はない。僕はまだ21歳。3週間走り切りたいけれど、自分の肉体がどうなってしまうのかさえ分からないんだ」(コンティ、大会公式リリースより)
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