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自転車界の長老アルフレド・マルティーニが、前日、93歳で天に召された。ファウスト・コッピとほぼ同時期にレースを転戦し、1950年ジロ・デ・イタリアではコブレ、バルタリに次ぐ総合3位に入った。1975年から1997年まではイタリア代表監督を務め、祖国に6つの世界タイトルをもたらした(2位6回、3位8回)。ブエルタのプロトンも、偉大なる先人に、静かに弔意を表した。
氷水をかぶりたくなるような暑さが、ブエルタを襲った。スタート直後に4選手が飛び出すと、あっさり逃げを開始した。第2ステージに続く2度目の挑戦となるハビエル・アラメンディアに、ヘルト・ユエアール、ジミー・アングルヴァン、セバスティアン・テュルゴーのはるか後方では、前日同様にオリカ・グリーンエッジがせっせとタイムコントロールに励んだ。2つの山越えを含むステージは「山に強いスプリンター、もしくはパンチャー向け」、つまりはマイヨ・ロホのマイケル・マシューズ向けと予想されていた。前半の平坦な道で、タイム差は最大5分までしか許さなかった。
ところがゴール前60km、突如として、総合本命たちの争いが勃発する。オリカ隊列を退けて、モヴィスターとティンコフ・サクソが猛然と引き始めたのだ。それまで2分あったタイム差は、ほんの2km先で、1分にまで縮まった。そこは、今ステージ最初の山場、3級峠の入り口だった。
エスケープの4人は山頂の先頭通過さえ果たせなかった。猛接近してきたメイン集団から、アメッツ・チュルーカが飛び出し、追い抜いていったせいだ。2012年ツール「ランテルヌ・ルージュ(=総合最下位)」アングルヴァンだけは、かろうじて粘った。2007年ツール「スーパー敢闘賞」のチュルーカと共に、1度目のフィニッシュラインを先頭で駆け抜けた。ただし、大逃げの挑戦はここまで。とてつもないバトルを繰り広げる強豪たちに、2人は非情にも飲み込まれていった。
3級峠からの下りでは、やはりモヴィスターやティンコフが、盛んに加速を繰り返した。一時はプロトンを切れ切れに引き裂いたほどだった。好戦的な走りを見せたのは、なにもこの2チームだけではない。2級峠への上りに突入すると、今度はスカイが6人がかりで隊列を組み上げ、得意の山岳列車を走らせたことも。
大物たちの睨み合いの隙を縫うように、ウィナー・アナコナがアタックを仕掛けた。アダム・イェーツとロメン・シカールが後を追った。メーン集団はあいかわらず、モヴィスターが引いていた。山頂を越ても、いまだアップダウンは続いていた。
そんな時だ。ゴール前25km、集団半ばから、大げさな助走でアレハンドロ・バルベルデが上がって行ったかと思うと……、そのまま前方へと飛び出した!第2ステージ終了後にまさかのマイヨ・ロホを獲得したかと思えば、第3ステージの落車後にあっさりジャージを手放した、そんなモヴィスターの総合リーダーの「片割れ」が、大胆な攻撃に打って出た。
「僕が前に出たことで、ライバルたちは少しナーバスになったはずだし、追走を仕掛けなければならなかったはずなんだ。いずれにせよ、逃げ切るのは難しいだろうと、分かっていた」(バルベルデ、チーム公式HPより)
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