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急激なスピードアップで、プロトンは瞬く間に長く棒状になり、そして細かく分断されていった。ティンコフのリーダー、コンタドールはもちろん、フルーム、キンタナ、バルベルデ、ウラン、ホアキン・ロドリゲス等々の主要総合リーダーは難を逃れた。有力スプリンターの2人、ジョン・デゲンコルブやブアニ、さらにはマイヨ・ロホのマイケル・マシューズも先頭集団に上手く滑り込んだ。……実のところ、後方に取り残された危険人物といえば2014年ドーフィネ総合覇者アンドリュー・タランスキーと2012年ジロ総合覇者ライダー・ヘシェダル、2012年ツール・ド・ラヴニール覇者ワレン・バルギルくらいなものだった。しかもバルギルは、後に先頭集団復帰している。
それでも、ティンコフは、加速を止めようとはしなかった。孤独な逃亡者リヒハルトをあっという間に飲み込んで、果敢なる突進を続けた。時にはモヴィスターも先頭牽引を手伝った。
「もっと情報が必要だったね。誰がいて、誰がいないのか。誰が後ろに取り残されたのか。僕らはまるで分からなかったんだ。最初の加速で、重要な選手を数人は置き去りにしたんじゃないかと思う。でも、彼らが戻ってきたことに、僕らは気が付かなかった。ちょっと混乱状態だったんだよね。でも、とにかく、トライはしたさ」(コンタドール、チーム公式リリースより)
つまりは、骨折り損のくたびれ儲け、だったようだ。今ステージの終わりに、ヘシェダルとタランスキーから3分以上のタイムを奪い取っただけだった。そして、もしかしたら、いくつかのスプリンターチームは後悔しているかもしれない。あのときティンコフに協力しておけば、と。なにしろ、後々80人ほどの集団スプリントを制した人間は、こんな風に語っている。
「ものすごく苦労して手に入れた勝利だよ。もしかしたら、これまで手にした大会7勝の中で、一番大変だったかもしれない。だってティンコフが加速したせいで、僕の側には、クーン・デコルトとワレン・バルギルの2人しか残っていなかったんだから」(デゲンコルブ、ゴール後インタビューより)
一旦は分断の罠にはまりながらも、第2集団のチームメートたちが奮闘したおかげで、バルギルは先頭集団へと無事に合流した。そして、集団ゴールへと突き進むプロトンの中で、普段は別の選手が担当しているはずの「スプリントのためのポジション取り」を、ピュアクライマーは見事にやってのけたのだ。
「ワレンが僕ら2人を好ポジションまで連れて行ってくれた。それからクーンが加速した。でも、その後、自分でなんとか対処しなきゃならなかったよ。カーブを曲がりそこねてしまったんだ。後輪から離されてしまったから、自分で距離を縮めに行かなきゃならなかった。でも、幸運にも、スプリントするだけのパワーが残っていた」(デゲンコルブ、チーム公式リリースより)
軽い上りフィニッシュで、飛び出したフィリップ・ジルベールを抜き去り、右後方から追い上げてくるブアニを振り払い、デゲンコルブは2日連続の区間勝利を手に入れた。2012年の5勝も含め、ブエルタ区間通算7勝目。今ステージはマイケル・マシューズのお下がりとして着ていた緑色のポイントジャージも、正式に手に入れた。
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