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サイクル ロードレース コラム 2014年9月3日

ブエルタ・ア・エスパーニャ2014 第10ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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ピュアスペシャリストを苦しめた前半の3級峠には、勾配15%ゾーンが含まれていた。山頂=11.2km地点の第1中間計測を、マルティンは20分02秒でクリアした。記録はヒルクライマーたちに次々と塗り替えられた。中でもコンタドールは、「後半はスペシャリスト向け。だから山で絶対にリードを開いておかなきゃならなかった」(大会公式リリースより)と、猛ダッシュで19分29秒の最高タイムを叩き出した。

この時点で、総合表彰台の有力候補たちは、30秒差以内にひしめいていた。最終走者ナイロ・キンタナも20秒遅れで上りをそつなく終えていた。落ち着いて走っているはずだった。しかし、下りの、ひどく細く曲がりくねった道で、右カーブを曲がりきれずにガードレールへと突っ込んでしまった!

「上りでは非常に調子は良かった。でも下りでは、単純に、僕がブレーキを十分に効かせなかっただけなんだ。たしかにカーブに入る前に、シューズがちょっと緩んでいたから、締めなおした。でも、これが落車の原因じゃないと思ってる。かなり長い間ブレーキをかけていたけれど、でも、十分ではなかったんだ。だって自転車は止まらなかったんだから。そして、僕は転がり落ちた」(キンタナ、チーム公式HPより)

アスファルトの上を派手に一回転したけれど、幸いにも、左足首が軽く痛むだけで、深刻な怪我はなかった。それでも、再スタートを切るまでに、2分近くものタイムを要した。フィニッシュラインには、マルティンから4分07秒、コンタドールから3分28秒遅れでたどりついた。総合順位も首位から11位(3分25秒差)へと一気に陥落した。だからと言って、総合争いから完全に放り出されてしまったわけではない。なにしろ、この春のジロ・デ・イタリアを制したキンタナだが、第12ステージの個人TTを終えた時点で、総合ではいまだ3分29秒遅れだった……。

「なんとか自分の調子を取り戻して、レースを続け、そしてポディウムの上で大会を終えられるようトライしたい」(キンタナ、大会公式リリースより)

アレハンドロ・バルベルデは1つ順位を戻して、総合2位・27秒差へ再浮上。キンタナの落車のせいでもあったが、なによりスペイン国内TTチャンピオン本人が、1分00秒遅れの区間8位と大健闘したおかげだった。第2〜9ステージの8日間、チームメートのキンタナ&バルベルデは、2人揃って総合3位以内に留まってきた。片方がタイムを大きく落としたこの先、モヴィスターは、果たしてどのような戦術で挑むのか。

「ボク自身の走りには満足しているけれど、ナイロの落車に関してはほろ苦い思いだね。僕は何も知らされてなかった。走り終えてから、聞かされたんだ。……今、大切なのは、ナイロがいまだ大会に残っていること。彼はきっと調子を取り戻してくる。このブエルタで素晴らしいことを成し遂げるために、僕らは、戦い続けていく」(バルベルデ、チーム公式HPより)

また、前述のジロ第12ステージで、2位以下に1分17秒もの大差をつけて区間勝利を奪ったのが、リゴベルト・ウランだった。ここスペインでも、高い独走力は健在だった。第1中間計測をコンタドールの16秒遅れで通過すると、30km地点の第2中間地点ではマルティンをコンマ数秒で交わして、なんとトップ通過を果たした!最終的にマルティンからわずか15秒遅れの、区間2位でフィニッシュ。総合9位から、59秒差の総合3位へと大きなジャンプアップを成功させた。

ちなみに、チームタイムトライアルで世界選手権2連覇中のオメガファルマ・クイックステップは首位マルティン、2位ウラン、11位ピーター・シェリーと区間上位に3選手を送り込んだ。タイトル保守へ向けて、こちらもどうやら磐石な様子だ。

「スタートから飛ばしすぎて、すぐに体力がなくなった」(大会公式リリースより)というクリス・フルームは、得意のはずのタイムトライアルで1分32秒(コンタドールから53秒)もの遅れを喫した。総合では1分18秒遅れの5位。上りではノーマルバイクを使用し、山頂でTTバイクと交換した2人、ウィナー・アナコナとホアキン・ロドリゲスは、それぞれ悪くない走りで総合4位(1分12秒)と6位(1分37秒)に留まった。サムエル・サンチェスも快走を見せ、総合13位から7位(1分41秒)に順位を上げた。

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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