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総合チームがますます安全性を優先する一方で、ジャイアント隊は再び追走の主導権を取ることに決めた。列車要員はすでに2人しか残っていなかったけれど、前を走るルツェンコとサンチェスを引き摺り下ろそうと奮闘した。
もはや誰も、ジャイアントに手を貸そうとはしなかった。それどころか、2人を必死で吸収した直後には、次々と、謀反の試みさえ巻き起こった。ラスト5.5kmからの短い上りで、ライバルたちは我先にと攻撃に切り替えた。山を登る前までは仲間だったオリカも、いまや立派なライバルとして猛加速を切っている。デゲンコルブ自らが後輪に張り付き、事態の収拾に走り回ったけれど、1人ではついに対応しきれなくなった。その時だ。ゴール前4.8km。アダム・ハンセンが毅然と飛び出した。
「最高のタイミングで飛び出せた。コース地形は僕にとってパーフェクトだった。それに、最終盤は、プロトンの人数はかなり減っていて、スプリンターはデゲンコルブとマシューズだけになっていたんだ。しかも2人とも、チームメートをそれほど残してはいなかった。だから、もしも僕がアタックを仕掛けたら、彼らが追いつくのは難しいだろうと予想していた」(ハンセン、大会記者会見より)
アンドレ・グライペルのスプリント列車要員を務めることも多いオーストラリア人は、他のスプリンターチームの動きをしっかりと把握していた。読みはぴたりと当たった。ジャイアントの残されたアシストだって、確かに奮闘した。しかし、どうしても人員不足だった。ラスト2kmで、ついに追走を放棄せざるを得なかった。他チームは顔を見合わせるか、バラバラにアタックを仕掛けるかに終始するだけ。残り1kmでタイム差は12秒。この遅れを、埋め合わせることなど、もはや不可能だった。
「ブエルタで勝つことが出来て、本当に嬉しいんだ。僕はグランツールが大好きだけれど、特に、ブエルタがお気に入りだからね。いつも暑くて、天気が良くて、ファンも熱狂的で。スペインが大好き。だから、ブエルタで勝てたというのは、ホント、スペシャルだよ」(ハンセン、大会公式記者会見より)
グランツールには今大会を含め、過去16回出場してきた。特に2011年ブエルタを走り終えてからは、3年×3グランツール、つまり9グランツール連続で完走を果たしてきた。2013年ジロでは、大逃げの果てに生まれて初めてのグランツール区間勝利を手に入れた。素晴らしき連続完走「5回記念」だった。そしてこの2014年ブエルタでは、終盤のアタックを勝利に結びつけ、連続完走「10回記念」を大々的に祝った!……もちろん、今の時点では「前祝」に過ぎない。本当の意味で、区間勝利と連続完走を満喫できるのは、日曜日の夜になる。
「来年も、また同じスケジュールで走りたいと考えている。そう、つまりはグランツール!グランツール!グランツール!」(ハンセン、大会公式記者会見より)
5秒後にたどり着いた54人の集団スプリントは、当然のように、デゲンコルブがさらい取った。5つ目の区間勝利は果たせなかったけれど、ゴールポイントは20pt収集した。緑ジャージ争いでは、2位アレハンドロ・バルベルデのリードを39ptに開いた。残す2日間で獲得できる最大ポイントは58ptだから、まだまだ決して予断は許さない。
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