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サイクル ロードレース コラム 2014年9月13日

ブエルタ・ア・エスパーニャ2014 第19ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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乾いた荒野が広がるスペインで、ガリシアは例外的に「緑の大地」と呼ばれる。まるで英国のように、1日の間で晴れたり雨が降ったり、ころころと変わりやすい天候でも有名だ。この日も、大西洋から、むくむくと雲がわきあがってきた。通り雨がプロトンを襲い、海からの強風が選手たちの体に吹き付けた。しかも、最終盤に少々難解な2級峠が待っていて……。あらゆる困難をはねのけて、「グランツール10大会連続完走」を目前に控えるアダム・ハンセンが、記念すべきステージ勝利を手に入れた。

ちょっとしたアタック合戦を制して、25km地点からローラン・マンジェル、ピム・リヒハルト、ワウテル・ポエルスが逃げ出した。メイン集団では早々とジャイアント・シマノがタイム差制御に乗り出した。スプリントリーダーのジョン・デゲンコルブにとって、5つ目の区間勝利のチャンスであり、なにより緑ジャージポイント収集の大切な機会だったから。コース上に2級峠が2つ聳えていようが、ちっとも構わなかった。しかもゴール前15kmには、登坂距離4.7%・平均勾配7%と、ひどく爆発的な上りが控えていたというのに!

噂によれば、マイケル・マシューズ擁するオリカ・グリーンエッジの協力も取り付けた。なんでもスタート前に、両チームは協力関係を結んだとのこと。とにかく、すべてはゴールスプリントに持ち込むために。ジャイアント隊列は、エスケープに最大3分半差までしか与えなかった。じっくりと、確実に、3人を追い詰めていった。

ゴール手前の2級峠入り口まで、いよいよ10kmに迫ると、追走スピードは急激に上がった。総合上位を抱えるチームが、こぞって集団前方へと競りあがってきたからだ。分断、落車、メカトラ、ライバルのアタック……、様々なトラブルを避けるためだった。ティンコフ・サクソが夢中で前を引き、続いてスカイが冷酷に加速していく。エスケープの3人は最後まで必死に粘ったけれど、恐ろしいうねりと化したプロトンに、山に入る直前に飲み込まれていった。

山道が始まると同時に、アレクセイ・ルツェンコが飛び出した。上りでの追走作業は、ほぼ、スカイトレインに一任された。デゲンコルブは漆黒ボーイズの最終車両に張り付いて、クールに上り続けた。下りでも、スカイが相変わらず仕事を引き受けた。差は15秒ほどついたが、あくまで静かに、追走作業は続行された。

しかし、ダウンヒルでサムエル・サンチェスが仕掛けると、状況は複雑になっていく。プロトン屈指の下り巧者の、高速アタックだった。道幅はひどく細く、しかも舗装状態は極めて悪かった。その上、ツールで落車骨折したクリス・フルーム擁するスカイは、「あくまで安全のために前を制御」(フルーム、ゴール後インタビューより)していたはずだったのに……、肝心のアシスト役ダリオ・カタルドが急カーブで自転車から滑り落ちてしまった!集団内は一気に緊迫感に包まれた。やはりツールの下り中に落車したコンタドールも、一瞬ヒヤリとさせられたという。

「下りでは落車のリスクがかなり大きかった。ダリオ・カタルドの落車を上手く避けられたのは、とにかくラッキーだったね。どうやって切り抜けたのか分からない。けれど、とにかく、何事も問題のないまま1日を終えられて本当にほっとしている」(コンタドール、チーム公式リリース)

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