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標高1655mの山の上で、真っ赤な拳銃が火を噴いた。マイヨ・ロホ姿のアルベルト・コンタドールが、大会最後の難関山岳ステージを鮮やかに射止めた。過去グランツール5勝(失格された分を入れると+2勝)の大チャンピオンは、見事なまでの手練手管を発揮して、ライバルを完璧に封じ込めた。総合2位クリス・フルームとのタイム差を1分37秒へ開き、総合優勝をほぼ、手中におさめた。
見渡す限り山また山。人里遠く離れ、まるで秘境にさまよいこんだような、アンカーレスの頂へ――。
スタートから35km地点で、プリジミスラウ・ニエミエツ、ジェローム・コッペル、マキシム・ムドレル、ワウテル・ポエルスが逃げ出した。タイム差は最大10分半まで開いた。メイン集団では、ルイスレオン・サンチェスの山岳賞ジャージを守りたいカハルラル・セグロスエレヘアーが、真っ先に集団制御に乗り出した。続いてアスタナも追走に従事した。しかし、両チームとも、結局のところ主導権を手放すことになる。漆黒の衣を身にまとうチームが、赤ジャージに決戦を挑むために、前方へと競りあがってきたからだ。
ラスト45km、スカイがコントロール権を掌握した。この第20ステージと最終日タイムトライアルの2日間で、コンタドールとの1分19秒差を引っくり返そうと狙うリーダーのために。……クリスティアン・クネースは3日前に、ダリオ・カタルドはこの日の朝に大会を離れたけれど、残るアシスト6人全員が猛烈に働いた。最終峠手前の1級峠では、ヴァシル・キリエンカが高速で山岳列車を走らせた。引き始めはいまだ4分45秒あったタイム差を、20km先で1分にまで縮めた。その後はカンスタンティン・シウトソウがリレーを引き継いだ。
迫りくる脅威から逃げ切ろうと、エスケープ集団は必死の奮闘を続けた。4人の中でも特にニエミエツは、ぎりぎりで最終峠まで逃げを延長させた。しかし、第15ステージでコバドンガ山頂まで逃げ切った時とは、同じようには行かなかった。最終峠の序盤で、総合争いのビッグネームたちに、先を譲ることになった。
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