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【Cycle*2024 フレーシュ・ワロンヌ:プレビュー】唯一絶対の勝負地「ユイの壁」を4回、誰が真っ先に上り詰めるのか
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雨がプロトンを分断した。濡れた下りがダウンヒラーの脚を奪った。スカイとBMCがレースの主導権を奪い合い、カチューシャは見事な献身で火を消し止めた。伝統のゴール地ヴィア・ローマでは、26人のゴールスプリントが繰り広げられた。表彰台で天を仰ぎ、感激の涙を流したのは、ジャイアント・アルペシンのジョン デゲンコルブだった。
293kmの長距離戦が動き出したのは、残り60kmを切ってから。序盤に逃げ出した11人に一時は10分以上の差を許し、後方プロトンは黙々と一定リズムでペダルをこぎ続けた。雨や寒さの中で体力を無駄に消耗してしまわぬよう、本物の勝負の時をひたすらじっと待ちつづけた。眼前にリグリア海への眺めが広がり、「3つの頭」トレ・カピが徐々に近づいてくると、多くの選手たちががそわそわと雨具を脱ぎだした。それが合図だった。エティックス・クイックステップが先頭でペースを上げ、ティンコフ・サクソが引き始め、スカイが隊列を組み上げる。スピードは一気に上がり、タイム差は急速に減り、メイン集団は後方から細かく千切れ始めた。
3つ目のカポ、カポ・ベルタの下りでは、集団の前方がばっさり割れた。前からルーク ロウ、ゲラント トーマス、ベン スウィフト、サルヴァトーレ プッチォの順番で、スカイ列車がダウンヒルを先導している、ちょうどその時だった。4番目のプッチォが、カーブでつるり。濡れたアスファルトへと横倒しになり、背後の選手が次々と巻き込まれた。
前から3人、つまりロウ・トーマス・スウィフトは、チラリ、と後ろを振り向いた。すぐに前方へと向き直ると……、そのまま突進を始めてしまった!フィニッシュまでいまだ残り35km。スカイトリオはまるでチームタイムトライアルのように、一心にペダルを回し続けた。
「プッチォとスタナードという大切な選手を落車で失ったけれど、引き換えに我々チームは好ポジションへと躍り出た。もしも最後まで運が味方してくれたら、『G』(ゲラント・トーマス)は勝利を争える立場につけていたはずだった。もしも、ルーカ パオリーニが、全速力で彼を捕まえにこなければ……」(スカイ監督ダリオ・チオーニ、チーム公式HPより)
まずはロウが猛烈に牽引役を務めた。前を行くエスケープの残党を次々と捕らえ、追い抜いた。ゴール前30kmを切り、勝負峠チプレッサに入ると、トーマスとスウィフトだけが先を急いだ。
マーク カヴェンディッシュのためにどうにかゴールスプリントに持ち込みたいエティックスが、必死の追走を行ったせいで、上りの途中で、スカイの2人はメーン集団に強制的に引きずり戻されてしまう。朝からの逃げもすべてきれいに吸収された。それでもスカイは、全力疾走をやめようとはしなかった。集団内にまぎれていたラーシュペッテル ノルダーグが、すかさず先頭に姿を現すと、トーマスとスウィフトを背後に従えハイスピードで山を駆け上った。集団は細長く伸び、ついには一列棒状となった。最後尾ではディフェンディングチャンピオンのアレクサンドル クリストフが、苦しげにしがみついていた。
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