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【ヘント〜ウェヴェルヘム/プレビュー】全長239km、落車やメカトラ、海風による分断が勝負を分ける
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか春先のフランドル特有の悪天候や、石畳路での落車やメカトラ、海風による分断など、勝負を分ける要因はコース上のいたるところに待ち受けている。しかし中でもケンメルベルフが、伝統的に、同レースの審判の地となってきた。第一次世界大戦の激戦では「禿山」と化し、第二次世界大戦直後からはNATOの地下司令室が置かれてきた(冷戦終了まで使用された)戦略要地は、自転車の世界では石畳の坂道として知られている。
今年は160km地点と201km地点の2度登場するケンメル坂道は、登坂距離2.5km、平均勾配4.4%。最大勾配23%と上りも飛び切り厳しいけれど、なにより下りがところどころ勾配−20%を超える逆激坂!たとえば2009年のエドヴァルド ボアッソンハーゲンは、上りでアタックをかけたクシェンスキーに、下りでアタックで追いつき、悪天候の中でそのまま逃げ切り優勝を決めている。しかも道は極めて細く、直角カーブも待ち受ける。渋滞・落車は当たり前。たとえどんなに脚の状態が良くとも、位置取りのミスは命取り。あっという間に分断に巻き込まれてしまうかもしれない。2012年のカヴもまた、この下りで、優勝の望みを断たれたのだ。
2度のケンメルベルフで絞り込まれた集団は、ゴール前34.5kmのモンテベルフでこの日最後の上りを終える。あとは集団スプリントゴールへ向かって、ひたすら突き進むだけ――。いや、それでも、ヘント〜ウェヴェルヘムの勝負の行方は最後までわからない。ピュアスプリンターたちは、容易に勝利を確信してはならない。なにしろ2013年のペーター サガンは、ゴール前3.5kmの平坦なアスファルト路で、勝利への単独アタックを決めているのだから!
ちなみに28日の夜中に、ヨーロッパはサマータイムへと移行する。日本との時差は8時間から7時間に縮まり、ヘント〜ウェヴェルヘムに向かう選手たちは、貴重な睡眠時間を1時間削られることになる。
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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