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サイクル ロードレース コラム 2015年4月11日

【パリ〜ルーベ/プレビュー】勝利を掴むのは、長年の夢を果たしたいブラドレー・ウィギンスか?好調アレクサンドル・クリストフか?

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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たしかに2014年1月に、クリストフは、「僕の脚質には、ツール・デ・フランドルのほうがルーベより合ってる」「石畳にはそれほど強くないんだ。だからルーベは僕には難しい」(独ラドスポーツ・ニュース)と告白している。しかし、1年3ヶ月前の彼と、今のクリストフは、もはや同じ人間ではない。あれからミラノ〜サンレモを勝ち、ツール・ド・フランスの区間勝利を2つ手にし、ツール・デ・フランドルもねじ伏せたのだから。彼の控えめな発言を、決して信頼してはならない。

そのクリストフが得意ではないらしいパリ〜ルーベのコース設定は、例年とほぼ同じ。コンピエーニュからスタートし、95kmほどアスファルトの道を北上する。トロワヴィルの町を通過したら、そこから残り約150kmの、3分の1は石畳。全長52.7kmのでこぼこ道が、ひたすら選手たちの脚を苦しめ、無数のパンクと落車を引き起こす。

全部で27つある石畳セクターは、難易度が5段階で評価されている。そのなかでも最難関「5」をもらっているゾーンは3つ。1つ目はご存知、アランベール(第18セクター、158km地点、全長2400m)。鬱蒼とした森の中を突っ切る長い直道道路は、晴れた日でもどこかしら湿っていて、滑りやすい。しかも石畳が極めて荒れている上に、他の農道でよく見られるような両サイドの「土の踏み固められたゾーン」が存在しない。つまりこの一本道には、どこにも逃げ場がない。2つ目のモン・アン・ペヴェール(第10セクター、204.5km地点、全長3000m)は、アランベールとは違い、直角カーブが2度登場する。すなわち曲がりきれずに思わず落車してしまう選手が多い場所。しかも道幅が極めて狭く、道の中央がこんもり大胆に盛り上がっているため、走行ライン取りが難しい。

そして3つ目が勝負の分かれ目、カルフール・ド・ラルブル(第4セクター、236.5km地点、全長2100m)。イレギュラーな石畳に、直角カーブ。すでに230km以上走りぬいてきた脚にとっては、これだけでも難しいというのに、しかも石畳の周りは……巨大なバーベキュー会場と化している!もくもくと上がる煙と、ビールの匂いと、耳をつんざくような歓声と、そして愛すべき酔っぱらいたち。ゾーンの入り口から出口まで、まるで花道のように人垣が作り上げられる。選手たちが通過できる道幅はおそらく50cmくらいではなかろうか。ここでは走行ラインは自分では選べない。前の選手にほんの少しでも離されたら、間にファンたちが割り込んでしまって、背中を見失ってしまうかもしれない。追い越しは至難の業。転んだら、みんなが助けてくれるかも知れないけれど……。

カルフール・ド・ラルブルを抜けだしたら、フィニッシュまでは残り15km。栄光の独走が始まっているか、それともルーベ競技場のセメントバンクの上で、スプリント勝負が繰り広げられるのか。その競技場の壁には、こんな名言が記されている。「北の地獄は、天国への入り口だ」。トム・ボーネンとファビアン・カンチェラーラ、大本命2人のいない石畳クラシックも、ついにフィナーレを迎える。

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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