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【Cycle*2024 フレーシュ・ワロンヌ:プレビュー】唯一絶対の勝負地「ユイの壁」を4回、誰が真っ先に上り詰めるのか
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もうもうとたちこめる砂埃を突っ切ってきた選手たちの顔はみな、すすけた茶色に染まっていた。ヒップスターたちの自慢の髭も、たっぷりと分厚い粉をまとっている。前夜にはほんの少し雨が降ったけれど、レース当日は初夏のような太陽がパヴェを照りつけた。例年、乾いた石畳の上では、高速レースが展開されるもの。しかも強烈な南風が、選手たちの背中を押した。1968年に現行レース体制になって以来、2番目に速い時速でプロトンは駆け抜けた(43.476km/h)。
「カンチェラーラとボーネンがいない今大会は、2011年のように無印選手が逃げ切るか、もしくは10人程度のスプリントで締めくくられる」。こんな風に勝者が前夜に予言した通り、7選手が塊となってルーベ自転車競技場に飛び込んだ。つまり7人でのスプリント勝負。これも過去20大会で、やはり2番目に多い人数だった(1997年大会が8人、3番目は2004年大会の4人)。
しかし、勝者の予言が、全て当たったわけではない。「スプリント勝負になる場合は、僕があえてアクションを起こす必要はないと思う」と語っていたジョン・デゲンコルブは、自ら果敢に攻め、そして力づくで得意のスプリントにねじ込んだ。1月に生まれたばかりの愛息レオ君が、初めてレース会場に応援にやってきたその日に、パパは石畳トロフィーを天高く突き上げた。1896年第1回大会を制したヨゼフ・フィッシャーに続く、史上2人目の、ドイツ人パリ〜ルーベ覇者となった。
序盤のアスファルト区間で9人の逃げが出来上がり、最大10分程度の差を開いた。全部で27ヶ所ある石畳ゾーンに突入すると、2015年北クラシックを常に活気づけてきたエティックスとスカイの主導により、じわじわと差は縮まっていった。もちろん度重なるメカトラや落車で、メイン集団は小さく絞りこまれていく。“ポン・ジビュス”の愛称でおなじみの第17セクターを横切る踏切では、TGVの通過で集団が2分割されたことさえあった(審判団の判断で集団はひとつに戻された)。もちろん単なる石畳の振動に耐え切れず、自ら千切れていく者のほうが多かった。
ラスト50kmを切り、第10セクターのモン・アン・ペヴェールで、エティックスが真っ先に動いた。北クラシック精鋭軍はE3ハーレルベーク2位、ヘント〜ウェヴェルヘム2位、ツール・デ・フランドル2位と、ここまで全て攻撃的に走り、全て2位に甘んじてきた。石畳最終戦も、あくまで、やり方を変えるつもりはない。サブリーダー級のステイン・ヴァンデンベルフを、切込隊長として前方へと送り出した。
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