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逃げ集団の背後では、イエローの列車が、1分差前後を延々とキープしながらついていった。ツールのマイヨ・ジョーヌ、ブエルタのマイヨ・ロホに続いて、ジロのマリア・ローザを虎視眈々と狙うジルベールが、ボーナスタイム収集のために中間スプリントに打って出ようが(結果は1位×2回×3秒で6秒獲得)、激しいアップダウンの連続で、前方からばらばらと選手が脱落してこようが、ティンコフは黙々と速いテンポを刻み続けた。
2級峠で、パベル・コシェトコフが、逃げの仲間たちを尻目に飛び出した。山岳ジャージを我がものとし、そのまま下りでもスピードを緩めることなく独走を続けた。置いてけぼりをくらったジルベールやウリッシ、ハンセン、クラーク、チャベス等々は、必死に追いかけた。コンタドールボーイズはあくまでも冷静に集団コントロールに専念しつづけた。
「SRMパワーメーターの値を見たところ、僕はステージの間中、まったく休みなしにハイパワーで走り続けてきたみたいだね。サプライズや落車を避けるために、チームが1日中、前方で働いてくれた。チームメートは僕を信頼して、素晴らしい仕事をしてくれた」(コンタドール、チーム公式リリースより)
ゴールまで13km。あれだけ起伏とカーブの連続だった道は、すでに平坦の直線になっていた。コシェトコフは相変わらず独走を続け、メイン集団はほんの20秒ほど背後に迫ってた。ついに我慢が出来なくなったハンセンがロシア人捕獲に動くと、マチェイ・パテルスキーが共鳴し、そしてオリカのクラークが張り付いた。セストリ・レバンテの海岸道路に出ると、ラスト5km、コシェトコフは最後の賭けに出た。そこにクラークはクールに飛び乗ると、背中に入り込み、ただプロトンが追いついてくるのを待った。メーン集団内で力を温存していたチームメートに、こうしてバトンは渡された。
ティンコフのかけた鍵は、ラスト3kmで開けられた。少し上り気味のフィニッシュラインへと、74選手が一気に雪崩れ込んだ。アスタナがほぼ全員いっせいにスプリントを切り、ファビオ・フェリーネが加速し、3時間以上前線で戦い続けたジルベールは最後の力を振り絞った。しかし、初日マリア・ローザのゲランスの懸命な発射作業に応えるかのように、ピンク色のスーパーカーが全てを抜き去った。
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