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そこから、ランダだけが、1人で前に飛び出すことになる。対する総合本命たちは、一旦、後方からの合流を待って仕切り直し。ゴール前1.3kmでダミアーノ・クネゴが動いた、その少し後に、再びアルが猛攻を仕掛ける。今度はポートがすぐに反応した。コンタドールは軽々と後流に入り込んだ。どうやら本来の調子を取り戻したらしいウランと、アルのアシスト役ダリオ・カタルドも、引き離されることはなかった。ラスト1kmのアーチをくぐると、ポートががむしゃらに加速する番だった。コンタドールとウランはひたすら張り付き、アルとカタルドは後ろからライバルを監視した。
5kmの攻防の末に、5人は一緒に1日を終えた。塊の中ではアルが先頭でフィニッシュラインを横切ったけれど、2番通過のコンタドールにはまるで影響はなかった。だってボーナスタイムはもはや残っていなかったから。ランダが区間2位に滑り込み、マリア・ローザ集団のほんの4秒前に、ライヘンバッハが3位へ滑りこんでいたからだ。
「区間勝利のチャンスがあると思った。でも、山道はそれほど急ではなかったし、エスケープにリードを与えすぎた」(ランダ、アスタナ公式HPより)
結果論だけれど、ランダが行かなければ、アルが3位のボーナスタイムを取れたのかもしれない。4秒を手に入れて、コンタドールと同タイムで並んでいたら、ステージ順位の累計が少ないアルがマリア・ローザを着ていたはずだった。現実はコンタドールが総合首位を守り、アルは4秒差の総合2位のまま。ポートは22秒差で3位につけ、ウランは12位→8位へとジャンプアップしたが、ライバルたちとのタイム差自体は1分24秒と変化なし。またアスタナはアルの2位に続き、4位カタルド(30秒)、5位ランダ(42秒)と総合トップ5に3人を送り込んでいる。
「本当に満足してる。動くべきところで、しっかり動くことができた。つまり、僕にとっては、普段通りの走りができたというわけ。明日を終えれば、幸いにも、休養日がやってくる。おそらく2週目は、元気いっぱい100%で戦うことができるだろうね」(コンタドール、ゴール後TVインタビューより)
いまだ表彰台でシャンパンファイトは出来ないし、第14ステージのタイムトライアルポジションには不安も残しているけれど、「エル・ピストレロ」のライフパワーはほぼ満タンまでまで回復しているようだ。100%になる前にジャージを奪い取りたいなら、ライバルたちには、あと1日しか余裕はない。
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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