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雨の中で、モドロが雄叫びを上げた4秒後に、アルとリゴベルト・ウランはゴールラインを越えた。コンタドールは40秒後(2人からは36秒後)に、ポートは2分08秒後(2分04秒)に悪夢を終わらせた。そして、体調不良で3秒→17秒遅れへとタイムを落とした翌日に、アルが、19秒差で逆転総合首位に立った。
24歳のファビオ・アルは、満面の笑みで、生まれて初めてのマリア・ローザに袖を通した。イタリアのファンたちも大いにわいた。2015年ジロで、初めて、イタリア人にリーダージャージが手渡されたのだから。ただし、レース委員長マウロ・ヴェーニが「イタリア人マリア・ローザは喜ばしいことだけれど、本音を言えば、やっぱりちゃんとした勝負で勝ち取って欲しかった」と語ったように、アル本人も、喜びに浸っているだけではないようだ。
「数日前、マリア・ローザに大きく近づいた。でも、どうしても取ることができなかった。悲しいことに、今日のステージは、紙の上では簡単に見えたけれど、天候と難解な最終盤のせいで、ひどく難しくなってしまった。常に前線で走らなければならないことは分かっていたし、チームが僕を前線へお仕上げてくれた。おかげで落車も免れた。今日のようなステージでは、どんなことだって起こりえる。僕にとっては、上手く行った。アルベルトには申し訳なく思うよ」(アル、公式記者会見より)
36秒失い、総合では19秒遅れ。コンタドールは「取り戻すのは簡単ではないだろう」(チーム公式リリースより)と語ったが、59.4kmの長距離個人タイムトライアルの終わりには、タイムは大きく変動しているはずだ。プラスにも、マイナスにも。
ちなみに、キャリアで8回のグランツール制覇を成し遂げてきたコンタドールだが(うち2度は成績剥奪)、一旦手に入れたグランツールリーダージャージを手放したことは、かつて1度たりともなかった。初めての不吉な経験だった。本人はむしろ、落車時に他のバイクのチェーンが当たった左足を心配している。
ポートの総合の遅れは5分05秒に広がった。いかにオージーがプロトン屈指のタイムトライアル巧者でも、取り戻すのは、もはやほぼ不可能に近い。
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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