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サイクル ロードレース コラム 2015年5月30日

ジロ・デ・イタリア2015 第19ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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ライバルの監視から解き放たれたアルは、ヘシェダルに合流し、そしてゴール前6km、1人で前に飛び出した。敵をふり払うために、2度、3度、執拗に加速を繰り返した。2014年ジロでモンテカンピオーネを、2014年ブエルタでサンミゲル・デ・アララルとモンテ・カストロベと、いずれも山頂フィニッシュを手に入れてきた若きヒルクライマーは、新たな登頂に向かって漕ぎ出した。

「ラスト7kmは、モルティローロステージのラスト50kmと同じくらい、苦しい試練だったよ。でも、これぞ、このスポーツの姿なんだ。このスポーツは苦しみの上に成り立っている。あらゆる種類の考えが、僕の頭の中をよぎった。でも、悪い考えに影響されてはならないことくらい、これまでの経験で分かっていた」(アル、公式記者会見より)

スイス国境近くの、フランス語圏のイタリアの山々を、アルはまるで「地元」のようによく理解していた。この一帯で行われるU23レース、ジロ・デッラ・ヴァレ・ダオスタ・モン・ブランには若き日に3度参加した。20歳で総合4位に、21歳と22歳では総合優勝を果たした。それに、苦しみの先には、歓喜が訪れることも。幸いにも、28秒差の独走ゴールだったから、山頂では喜びの感情を身振り手振りで表現する時間がたっぷりあった。

「この勝利は、なんだか特別な味わいがするね。だって数日間すごく調子が悪くて、なんとかやり過ごした後に訪れた、予測もしていなかった勝利だから。ただし、この勝利で、満足し切ってしまうことはない。このジロを最後まで走りたい。それから休養を取って、それから、次の目標に向かって準備を始めるんだ」(アル、公式記者会見より)

この勝利でアルは、総合2位の座さえも取り戻した。というのも、コンタドールはランダを監視したまま、追走はほぼスカイ(ミケル・ニエベが総合6位レオポルド・ケーニッヒを牽引した)に任せておいたから。ウランが単独で先に行ってしまったけれど、3週間前の総合優勝本命で、今では総合16位の男を、追いかける理由など一切なかったから。こうしてコンタドールはアルから1分18秒差でフィニッシュラインを越え、つまりランダはアルから1分18秒を失った。4分37秒差でアルが総合2位で、5分15秒差でランダが総合3位。コンタドールにとって、安泰すぎるほどのタイム差であることには、変わりはなかった。

「難しい1日をまたしても上手くやり過ごすことが出来て、本当に嬉しいよ。明日はすごく素敵なステージだね。上りは非常に難しい。もしかしたら、今日の上りよりも、ハードかもしれない。僕の仕事は、あらゆるアタックを耐え切ること。そして、もしかしたら、僕がアタックを仕掛ける日になるかもしれない」(コンタドール、チーム公式リリースより)

ヘシェダルは9位からさらに2つ順位を上げて総合7位へ。ケーニッヒは6位から総合5位へステップアップ。総合5位から9位までは、いまだ2分06秒差でひしめき合っている。マリア・ローザと表彰台の両脇の顔ぶれは、もはや「ほぼ」動かしようがないけれど……、総合トップ10内の順列付けは、第20ステージのセストリエーレ山頂で確定する。

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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