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サイクルロードレースレポート by 福光 俊介もちろん、イネオス陣営もボルタのようにすべてが上手くいくなんて思ってはいないだろう。彼らが示した強さが、ライバルチームを焚きつけるきっかけになって、プロトンが群雄割拠の様相を呈していくことになる。「本当の戦い」は、まだまだこれからなのである。
一方、大会最終日恒例のバルセロナステージは、「逃げのスペシャリスト」トーマス・デヘントが勝利。過去4回ステージ優勝を挙げ、2018年と2019年にはリーダージャージを着たこともある「カタルーニャ・マエストリア」が新たな勲章を手にした。
「毎シーズン、この大会のメンバー入りをチームに希望しているんだ。ステージ優勝に加えて山岳賞も2回獲っている相性の良いレース。100周年記念大会のバルセロナステージを勝つことができ、特別なことを成し遂げた実感があるね」(トーマス・デヘント)
バルセロナで勝つのは8年ぶり。そのときとは少しコースが変わっているが、この街で勝利する価値に違いはない。今回は、マテイ・モホリッチとの一騎打ち。下りのたびに差をつけられては直後の平坦で追いつくことを繰り返していたから、仕掛けるなら上りしかないと分かっていた。
「最終周回の上りで彼がついてくるようなら、ステージ2位で満足しようと思っていた」というが、そこは勝ち方を知る男。モホリッチの勢いが落ちているのを見逃さず、一撃のアタックで勝負を決めてみせたのだった。
毎ステージ印象的な場面が生まれた1週間の戦い。ステージレース戦線は、カタルーニャからバスクへと舞台を移して次なる戦いを迎える。イツリア・バスクカントリーには、アダムやカラパスに加えて、今大会でステージ1勝を挙げたエスデバン・チャベスも参戦予定。さらにはポガチャルやログリッチも乗り込む見込みとあって、激戦となるのは確実だ。
文:福光俊介
福光 俊介
ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う
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