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【ボルタ・ア・カタルーニャ 第4ステージ:レビュー】向かい風切り裂いたエスデバン・チャベスの渾身アタック「苦労が報われた瞬間だ」
サイクルロードレースレポート by 福光 俊介復活ののろしを上げたチャベスに対し、ネイビーの精鋭部隊は淡々と、かつ粛々と、レースをまとめていた。
王道の走りだった。前日のアダム・イェーツの勝利でリーダーチームとなったイネオス・グレナディアーズは、ひたすら集団のコントロールに努めた。有力チームが多数乗り込んだ逃げグループは、ポルト・アイネの入口までに吸収。彼らに「前待ち作戦」実行のスキをも与えなかった。
第3ステージのバルテル200ではアダム、リッチー・ポート、ゲラント・トーマス、リチャル・カラパスの「4枚のカード」を有効活用しライバルを丸裸にしてみせたが、この日は集団前方を固めてレースを支配する、往年の戦術を復刻。レース中、タクトを振るったのはトーマスである。
「いやぁ、良い1日だったね。以前の戦い方を思い出したよ。リーダージャージのキープを大前提としながら、リッチーと僕の総合順位も意識していたんだ。ローハン(デニス)がコントロールしてくれて、ビリー(カラパスの愛称)が残り3.5kmまで牽引してくれたおかげで、僕たちは安全に走ることができたよ」(ゲラント・トーマス)
最後の上りで飛び出したチャベスは、彼らにとって何の脅威でもなかった。だから、自分たちの順位をより良いところへ引き上げることに集中できた。もちろん、ライバルの攻撃には注意しながら。
結果的に、アダムのリーダージャージ安泰にとどまらず、集団のスプリントでトーマスが3位に入ってボーナスタイム4秒を獲得。個人総合3位につけていたジョアン・アルメイダが最終局面で遅れたことを確認できていたから、トーマスは総合ジャンプアップに欲を出してみせた。レースリーダーのアダム自らトーマスの番手を固めて、他選手に前を譲らなかったあたりも、完全にチームとしての余裕の表れだ。
クイーンステージを終えて、総合トップ3をアダム、ポート、トーマスで固めた。今大会、イネオス・グレナディアーズが他を圧倒していることは明白である。ポートがこの日、残り数キロからの牽引でスロットルを上げすぎて脚が痙攣したというが、さして心配はいらないよう。むしろ、多少のマイナス要素が上がるくらいが良い塩梅ではないか。そう思わせるほどに、いまの彼らは豪勇無双の擲弾兵(グレナディアーズ)と化している。
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