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【ボルタ・ア・カタルーニャ 第2ステージ:レビュー】馴染みのコースで強さと勘が冴えたローハン・デニス「再び勝てる日が来ると信じていた」
サイクルロードレースレポート by 福光 俊介強さとともに、スペシャリストの勘も冴えわたった。「前半の上り基調を落ち着いたペースで走ることが鉄則だった。あまり飛ばしすぎると、後半のバニョラス湖のほとりで失速してしまうことは分かっていたんだ。実際、多くの選手がペース配分に苦しんでいたね」。このコース近くに自宅を構え、普段のトレーニングでも使うことの多い道とあって、攻略法を熟知していたことも幸いした。
デニスに限らず、イネオス・グレナディアーズ全体としても大成功の1日になった。リッチー・ポートが6位、アダム・イェーツが7位、ゲラント・トーマスが10位と、実に4選手がトップ10フィニッシュ。デニスを除く3人は、総合でもトップを間近にとらえるポジションにつけた。
「ツール・ド・フランスに向けた試運転の場と考えている」。そう語るのは、スポーツディレクターのブレッド・ランカスター。タイムトライアルで好位置につけて、第3ステージから本格化するピレネーの山岳コースで勝負をかける公算だ。
この日勝ったデニスも、翌日からは山岳アシストとしての仕事が待っている。「僕がツールに出られるかはまだ分からない。このまま上手くいけばメンバー入りできると思うのだけれど」。ピレネーでの働きを、ツールのメンバー入りへの好材料としたい。
ホアン・アルメイダ
イネオス勢に限らず、多くの総合系ライダーがステージ上位に食い込んで、来るピレネー勝負への足掛かりにしている。すっかりステージレーサーとして名を挙げたホアン・アルメイダも3位にまとめて、この日を終えてリーダージャージに袖を通した。
「今日は調子が良かった。タイムトライアルが僕の武器でもあるので、このステージである程度タイムを稼げるであろうことは想定していた」(アルメイダ)
残る5日間でトップを守り抜く意志を固めたアルメイダに、イネオスが包囲網を張った。第3ステージは標高2125mの超級山岳・バルテル2000への登頂。この山で、両者の形勢がある程度見えてくることだろう。
昨年のジロ・デ・イタリアでは15日間にわたってマリアローザを着続けた若きオールラウンダーには、イネオス陣営も一目置いている。「レースリーダーとして確かな力を持つ彼との勝負は、チームにとっても絶好のテストの機会になる」とランカスター。
文:福光俊介
福光 俊介
ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う
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