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サイクル ロードレース コラム 2021年3月23日

【ボルタ・ア・カタルーニャ 第1ステージ:レビュー】100回記念大会の初日を制した新鋭クローン「僕は最後の1秒まで戦い抜く」

サイクルロードレースレポート by 福光 俊介
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春の美しい景観を走る

春の美しい景観を走る

結果的に、これが決定打になった。サンチェスの動きに反応したのはレナード・ケムナ、レミ・ロシャス、そしてクローン。牽引するチームが現れずペースを上げ下げするメイン集団の一方で、前をゆく4人は均等に先頭交代を繰り返した。30秒前後で推移したタイム差は、残り8kmで40秒にまで膨らむ。ようやくイネオス・グレナディアーズやバーレーン・ヴィクトリアス、トレック・セガフレードが追撃したが、先頭までは届かなかった。

逃げ切りへの意思統一がなされていた4人も、残り2kmでのケムナのアタックをきっかけに利害が破綻。ステージ優勝をかけて、それぞれの思惑が交錯する。

「フロントグループで走っている間、脚を残すことを心掛けていた。最終局面も理想的な状況で、3人の後ろで横風を避けながらスプリントのタイミングを計っていた」(クローン)

自然と前へ出ていった3人の背後に迷いなく入り込むと、あとは彼らの力をうまく利用しながらスプリントする瞬間を待った。そして、ライバルたちが動き出すのを見てからの加速。クローンが、誰よりも冷静に大会の初日をモノにしてみせたのだった。

「こんなクレイジーな勝利があるとは! ただただ素晴らしい、その一言だ」。ワールドツアー初勝利にクローンは興奮を隠さない。それでも、4人で逃げ切ることができれば、勝つチャンスは大いにあるとの手ごたえもあった。昨年のツール・ド・ルクセンブルクでは、7人による逃げ切りを制していたし、2年前のロード世界選手権アンダー23でも同様の展開で優勝争いに加わった。得意の展開に持ち込んだことが最大の勝因だ。

そして、この日はロット・スーダルデーにもなった。レース前半からの逃げにはシルヴァン・モニケが入り、山岳賞ジャージを獲得。クローンが個人総合、ポイント賞、ヤングライダー賞でトップに立ったことで、4つのジャージすべてがチームにもたらされた。

22歳のクローンと23歳のモニケの活躍は、有望な若手がそろうチームの勢いを表している。「チームマネジメントが正しいことを示せていると思う。タデイ・ポガチャルに代表される僕たちの世代は、みんな最後の1秒まで戦い抜いているんだ。だから、ビッグネームを打ち負かすことだってある。まだまだシーズンが始まったばかり。これからもっと良い走りができるのではないかな」。クローンは胸を張った。

1つの勝利がキャリアを大きく変えることもある。すっかり自信をつけたクローンは、第2ステージの18.5km個人タイムトライアルで最終走者を務める。

個人総合優勝候補たちを含んだメイン集団は、クローンから16秒差でのフィニッシュ。ちなみにモビスターは、リーダーの1人であるマルク・ソレルが最終局面を前にパンク。フィニッシュ前3km以内でのトラブルのため救済措置が適応されたが、このチームにツキが回ってくるのはもう少し先のようだ。

文:福光俊介

福光 俊介

ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う

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