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【Cycle*2021 ミラノ〜サンレモ:レビュー】息を飲む心理戦の果てにジャスパー・ストゥイヴェンがキャリア最大の勝利!前回大会王者のファンアールト「スプリントチャンスを無駄に消費したくなかった」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか両手を上げるジャスパー・ストゥイヴェン
ポッジオから下り切ると同時に放たれた、鋭い一撃。本命トリオの周囲に渦巻く様々な思惑を振り払い、シンプルに「一か八か」に出たジャスパー・ストゥイヴェンが、ぎりぎりの賭けに勝った。自身初のモニュメントタイトルをさらい取り、春のサンレモの空に両手を力強く突き上げた。
「キャリア最大の勝利だ。完全に脚が空っぽになっちゃったけれど、1分差だろうが1センチ差だろうが、最後に勝てればそれで十分なのさ」(ストゥイヴェン)
プロトンは猛スピードで走り始めた。すぐさま8選手が逃げ出すと、序盤2時間ほどは大会史上最速ペースで走り続けた。ちなみに最終的な走行時速は45.06kmで、1990年45.806km、2006年45.268kmに次ぐ史上3番目。ただし、この過去2大会は、今年2021年大会よりも5km距離が短かかった。
ストゥイヴェン属するトレック・セガフレードからまんまとニコラ・コンチが滑り込んだ先頭集団とのタイム差が、スタートから25km、7分半に開いたところで、「ビッグスリー」の所属チームが仕事に取り掛かる。つまりディフェンディングチャンピオンのワウト・ファンアールト擁するユンボ・ヴィスマと、2年前の勝者ジュリアン・アラフィリップのドゥクーニンク・クイックステップ、そしてもちろんマチュー・ファンデルプールとアルペシン・フェニックスの仲間たち。3チームがそれぞれ1人ずつ集団前列に人員を配置し、淡々とプロトンコントロールに勤しんだ。残り200kmで5分半、残り100kmで3分20秒。長丁場の争いだけにゆっくり焦らずと、しかし確実に、前方との距離を縮めていった。
ミラノからの長い長い南下を終えて、空と海が遠くまで見渡せるリグリア海岸線に入ると、メイン集団内の緊迫感はじりじりと増していく。残り約55kmから連なる3つの小さな起伏「トレ・カピ」に差し掛かると、いよいよ複数のチームが前方に詰めかけ、道幅いっぱいに隊列を組み始めた。
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