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【パリ~ニース 第1ステージ:レビュー】昨ツールのマイヨ・ヴェールがデマールもアッカーマンもピーダスンもまとめてねじ伏せた!サム・ベネット「ひどく神経を使う戦いだった」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかさらにはアレクサンドル・ウラソフが、ルイスレオン・サンチェスと連れ立って前へと走り出るも、ささすがの総合優勝候補を集団は遠くへ逃そうとはしなかった。
残り10kmで集団は完全にひとつになった。ここから先はスプリンターチームの隊列の競い合いの時間だ。いくつもの隊列が並び、激しく陣地を競い合う。日本の新城も、最前列を堅守し、バーレーン列車を引っ張った。
一方でウルフパックの姿は完全に消えた。なんでも残り15km、つまり中間スプリントからラトゥール攻撃の混乱で、スプリントエースのベネットが集団後方に取り残されてしまったのだという。グルパマとトレックが中心に主導権争いを繰り広げる背後に、ドゥクーニンクの青いジャージがようやく見え隠れし始めた頃には、すでに残り距離は1.5kmを切っていた。
イエロージャージに袖を通したサム・ベネット
「でもチームメートが僕を乗っけていってくれた。ミカエル(モルコフ)は常に冷静で、いつだって僕をあるべき場所まで導いてくれるんだ。チームは素晴らしかった」(ベネット)
残り1kmのアーチを先頭で抜けたのはグルパマ隊列だった。そのグルパマのアシストを含む数人の落車で統率が乱れた隙を突いて、ラスト500mからはボーラ・ハンスグローエが急激に駆け上がった。両チームエースのアルノー・デマールとパスカル・アッカーマンが、激しくスプリントを争った。ところが、ついに浮上を果たし、残り500mでマッズ・ピーダスンの後輪についていたベネットが、すかさずアッカーマンの背中に飛び乗る。さらには残り100mで、一気にトップスピードに切り替えた。
「攻撃に転じられる時まで、じっと待たなければならなかった。ひどく神経を使う戦いだった。まずはアッカーマンとの穴を埋めて、そこから全力を尽くした」(ベネット)
昨ツールのマイヨ・ヴェールが、昨シーズン最多14勝のデマールも、ブエルタ2勝のアッカーマンも、一昨年世界チャンピオンのピーダスンもまとめてねじ伏せた。ベネットにとってはパリ〜ニース通算4勝目。イネオスのガンナと、チームメートのバッレリーニに続き、今シーズン早くも3勝目を手に入れた。
デマールは区間2位、ピーダスンが3位につけた。アッカーマンは次々と抜かれ、最終的に6位で1日を終えた。2度の中間ポイントでボーナスタイムを収集したマシューズは、区間は17位に沈んだが、総合では5秒差の3位につける。
文:宮本あさか
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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