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サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかすぐに30秒ほどの差がついた。名クラシックハンターが率いる先頭集団を警戒し、プロトンは追走スピードを上げた。自ずと集団内の緊迫感も増していく。
しかも今ステージ3つ目の山岳に差し掛かると、今まで以上に多くのスプリンターチームが前方へと詰めかけた。至極当然のようにいくつかの落車が引き起こされ、フィニッシュ手前33kmでは、リッチー・ポートが地面に転がり落ちた。
「オーストラリアから帰ってきたばかりだから、自分の調子がどの程度なのかまるで分からない」と開幕前に語っていたポートは、すぐには戦いを諦めなかった。走り出した後に一旦自転車から降りたものの、左腰の強い痛みをおして、再びサドルにまたがった。しかし最終的に途中棄権。過去区間5勝・総合2勝を上げた思い入れの強い大会を、初日で去ることになった。
執拗に置い続けたプロトンは、4つ目、つまり最後の山岳の入り口で無事にジルベール一行の吸収完了。しかも27kmに渡る努力を終えた途端に、スプリンターチームたちは最前列に蓋を締めた。誰も前に出さぬよう、上りでエースを脱落させぬよう、落ち着いたリズムを刻んだ。
山越え後にはまたしてもロット・スーダルが前方に人員を放つも(コービー・ホーセンス)、今度はどこも動こうとはしなかった。もちろん集団は、2度目の中間スプリントが来る前に、きっちり逃げを握りつぶした。むしろその緑ジャージ用ポイントとボーナスタイムを巡る数人のスプリントが、レースに再びちょっとした刺激を与えることになる。
マシューズがティシュ・ベノートとの競り合いを制した直後に、ロットが3度目のアタックを試み……その隙を突くように、ピエール・ラトゥールが矢のように飛び出した。残り15kmですばやく出来上がった7人の小集団には、ただしドゥクーニンクやトレック等々、いくつものスプリントチームが監視役を送り込んでいた。「守備的に走るのはもうイヤ」と新天地に移ったフレンチクライマーは、念願どおり攻撃的に突進を続けたが、集団内での協調はまるで取れぬまま。タイム差は一向に開かない。
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