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【ストラーデ・ビアンケ:レビュー】驚異的加速でマチュー・ファンデルプールが全てを蹴散らした「彼らを直接対決で退けられたことが、この勝利を価値あるものにしてくれる」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかその後アラフィリップはもう1度だけ、大きな加速を見せた。フィニッシュ手前約23km。勾配7.5%のグラベルゾーンだった。これが先頭の7人で唯一、この日が2021年初戦というファンアールトの、鎧を剥ぎ取った。まさかの遅れを喫したのだ。誰もがワウトの不調を察したと同時に、アラフィリップは「今日はマチューが一番強い」と直感したという。
それでもどうにかファンアールトは体制を立て直し、5kmほどの追走でライバルたちをとらえた。再合流してからは、猛烈に飛ばしまくるアラフィリップとファンデルプールに対する警戒を解かず、最終グラベルセクターにはあえて先頭で飛び込む意地も示した。
しかし2連覇の望みは、永遠のライバルに断ち切られた。フィニッシュ手前12.2km。この日最後の「白い道」の、全長1.1km、平均8.6%の坂道を抜け出す直前だった。ファンデルプールが前触れもなく2列目から駆け出していくと、アスファルトゾーンでも畳み掛けるようにスピードを上げた。
「後半は風がすごく強かった。しかもアラフィリップとファンデルプールのアタック。もはや限度を超えた」(ファンアールト)
ファンアールトにとってだけではなく、その場にいたほとんどの選手にとって、許容範囲を超えていた。ただ「2019年優勝時と同じような調子だった」アラフィリップと、同僚ピドコックと共に「ひたすら最終盤を待ち続けた」ベルナルだけが……一瞬で引き離されたはしたが、かろうじてフライング・ダッチマンのもとへと追いつけた。
「アラフィリップは少し疲れているように感じたし、彼自身も、脚が上手く回らないと言っていたんだ。いつもなら全力の彼が、先頭交代をところどころ飛ばしている姿を見て、嘘をついていないことは分かっていた。むしろベルナルの上りには圧倒されたし、すごく調子が良いように見えた。でも、2人と最後の上りに突入することは、怖くなかった。最後の上りは、僕向きだと分かっていたし、まだ脚に余力があると感じていたから」(ファンデルプール)
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